Speechless 「言葉を失った」というコメントは笑えた。
ボブ•ディランがノーベル文学賞を「栄誉あること」とスウェーデンアカデミーに電話をかけてきたという。電話口で「どうしてそんなに沈黙してたんですか?」とでも訊いたのかな。答えは「風に吹かれて」じゃなくて(笑)「The news about the Nobel Prize left me speechless(ノーベル賞の受賞ニュースで言葉を失った)」。
なぜか思い出した曲は『Mr. Tambourine Man/ミスター•タンブリン•マン』である。
バーズもヒットを飛ばした1964年の名曲。この動画は凄くいい。この曲は「降りて来ない」と作れないと思うな。ディランはスタジオで大きなタンブリンを抱えたギタリストを見て発想した。
へい!ミスター•タンブリン•マン、歌を歌ってよ
まだ眠くないし、出掛けるあてもないんだ 朝もやの中
タンブリンをジャラジャラさせる君についてゆくよ
Hey! Mr. Tambourine Man, play a song for me,
I’m not sleepy and there is no place I’m going to.
In the jingle jangle morning I’ll come followin’ you.
アートとは理屈じゃない部分で人を動かすものだ。こんな名曲がザクザクあるんだからノーベル賞は当たり前だ。
それでもシンガーソングライターがノーベル賞にふさわしくないというなら、誰がふさわしいのだろうか。医学賞や物理学賞を見ても、人の業績を転用した業績ではなく、根源的な仕組みや機序や構造を解明した人が受賞してきた。
同じように考えれば、彼は文学の構造を変えた。文学を歌えるようにした。ライフスタイルにした。ポップスの歌詞を現代詩の数千倍売れるものにした。彼ほど文学を身近にした人はいない。
カラオケでも歌われる『風に吹かれて』(ぼくも歌ったな…^^;;)、ロックンロールの『ライク•ア•ローリングストーン』『ハリケーン』、そしてソングラインがあまりに美しい『レイ•レディ•レイ』や『イフ•ナット•フォー•ユー』。土砂降りの日には『激しい雨』を口ずさむなあ。ぜひノーベル賞授賞式ではこうスピーチしてほしい。
Hey, Mr. Nobel Man, play a song for me(へい!ミスター•ノーベルマン、ぼくのために歌ってよ)
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