山本太郎と李鳳宇、やさしいマイノリティ

 

業界も世間も、腫れものに触らないように避けてきた俳優、それが山本太郎。ぼくも彼の発言に触れて「なにもそこまで…」「どうしてコイツこだわるんだろう?」と訝しく思った。

山本さんがその発言や行動で事務所をクビになった直後、主演のオファーをもらった映画が『EDEN』。今日11月17日から公開が始まった。新宿のゲイバーの店長兼振付師が山本さん。そこを舞台に死んだゲイの遺体を実家に運ぶというナンセンスな筋立てで、そのスジから圧倒的な支持を得る原作(船戸与一著)がベース。

EDENを知って山本太郎がわかった。キーワードは“やさしいマイノリティ”なのだ。

1年前、山本太郎は「体制側の俳優たち」から「バアカ」「俳優は政治を語るな」と罵られた。だが発言しデモに参加し続けた。そういうマイノリティだからこそ、ゲイ映画のマイノリティの役柄がやってきた。涙して台本を読んだそうだ。わかるなあ。

この映画の制作者は李鳳宇さん(り•ぼんう)で、『フラガール』『パッチギ!』を制作した骨の髄まで映画人。彼の経歴を勉強不足で知らなかったが、壮絶なインタビュー記事を読んだ(シネカノンの破綻と再生について)。

まず在日というマイノリティである。裏切りに翻弄されて、自身の映画会社シネカノンの倒産を味わい、その再生会社でもまた裏切られ、韓国でも騙されて、落ち込んだ。でも「このマイノリティの映画を作れ」と友人や仲間が6,000万円を出資してくれた。

李さんの会社でレンタルしているのが“移動映画館”『Movin’on Movie Oasis”―MoMO』。120席の段々座席のある映画館を貸し出してくれる。映画上映では本格的な映像•音響施設がついてくるし、舞台として音楽や演劇イベントでもOK。25m×25mの土地があれば、どこでもトラックで施設を運搬するそうだ。

家でのDVD映画と、映画館での映画体験はちがう。どんな田舎でも、移動映画館で映画を楽しんでもらいたい。心の支援が必要な東北の被災地でも、何度も上映してきた。大量に観客動員するシネコンとは真逆。まさに“マイノリティの映画館”だ。

彼らは優しさに満ちている。マイノリティで生き抜く強さを持つ。虐められても希望がある。EDENのキャッチコピーは;

この世の中はもっと豊かで、捨てたモノじゃないわよ。

ぼくはゲイじゃないし女装もしない。単なる女好き^^。世間的にみれば落ちこぼれで変態でマイノリティだと思う。それならやさしく強く希望を持って生きれるんだと、山本さんと李さんに力をもらった。

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