本番とは普段である。

本番に力を出しきるーちょっと待って、本番だけでいいんですか?

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排気ガス試験のテスト時だけ基準を満たし、普通の道を走ると基準以上の排気ガスを出してしまうフォルクスワーゲン。なかなかオツなソフトウェアをつくったものだ。つくったボッシュ社も「テスト用」で製作したというけれど、それってまさに「テスト対策」ですね(笑)。

クルマでは環境性能を測定するために、排気ガスや燃費などのテストがある。衝突テストや空洞テストもある。クルマを売る前のチェック試験である。

一方、人間にも試験はいっぱいある。学校への入学試験や就活の履歴書や試験、面接である。転職するときも面接があるし、社内の昇進試験や資格取得の試験もある。営業上のプレゼンテーションもまた試験である。

我々は終わったらすべてを忘れさる受験勉強をし、履歴書に写りの良い写真を付けて華々しい履歴をまとめ、面接では「できる人」「有益な人」を演じる。プレゼンでは「貴社のために働きます」と言い切る。

つまりテストとは「特別な時」「極限状況」である。そこにピークを持ってゆかねばならないのだ。だって1年とかそれ以上、がんばってきたんだもん。ピークを合わせないとパスできないんだもん。

そう考えるとフォルクスワーゲンのやったことは、なんだか当たり前のことのようにも見えてくる。

いかんいかん、もちろん不正は不正である。ではなぜ不正なのか。もちろん実際の走行で排気ガスが基準以上に汚れているからだ。だからこう言いかえられる。

真の本番は普段にある。普段の力があってこそ本番がある。

普段に力を出せない人は、本番に一瞬力を出せても、結局ボロが出る。普段から一定レベルで力を出せるようになってこそ、ここ一番というときに爆発的に良い仕事ができる。スポーツでも芸術でも仕事でもそう。テストの時だけがんばった人って薄っぺらいしさ。

商品ではフォルクスワーゲンだけの問題じゃなくて、どんな商品にも当てはまる。ハンバーガーの見本と実物の違いや、少ないぜ牛丼のお肉とか、副作用のある薬とか、作り手の本番だけの手抜きがいっぱいある。

自戒を込めて…本番とは普段である。

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