率直

目の手術まで指折り数えてあと10日。いったいどれほど見えるようになるのか。

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目が弱いといろいろとつらい。パソコン作業もつらいし、歩くのもつらい。目測を誤って肩や肘がドアや柱や人に当たる。けつまずく(人生でも)。とりわけ買い物がつらい。値札が見えないのはまだしも、パッケージの色や柄やツヤが目にガンガンくる。自己主張ばかりの商品開発は目にもわるい。

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目の手術とは白内障である。強度の近視から発症したようだ。医師から「どれほど見えるようになるか保証できません」と言われたが、きっと今よりはマシだ。なにしろ今は色んな意味でボトムだから。何もかも今より悪くなりっこない。

今日もある人びとから痛いところを突かれた。

「あなたには人の心が見えてません。あなたしかできないんだから、見てあげてくださいね」

ある人びととは、固有名詞を出すのもナンなので、“善意の仲介者”と言っておこう。彼らはこう言った。

「お互い理解し合うことが少なかったのね。心を開かないままずっときたのね。人と人は合わないこともあるから無理もない点もある。でも頑なになった心のフタを開けないと、お互いニッチモサッチもいきませんよ」

言われたことは痛いほどわかる。ぼくは人の心を見るのが上手じゃない。こうだろうか、ああだろうかとさまようように考えては、結局何も言えなくなるタイプ。相手も同じだった。そういうのが積もり積もって何十年だから、殻も厚くなるわ、フタも重くなるわ、中身は腐るわ。お互いに痛めつけあった。

このままではどこにもゆけない。どうすれば痛めつけあうことが止むのだろうか。考えてゆくとひとつ、わかった。

「率直になることかな」

そう言うと仲介者は大きくうなずいた。「それがいい。そうしてください」

率直になろう。過去、現在、未来について思ったことを率直に言おう(まずは手紙かな)率直になってもう一度だけ当たってみるか。

目が見えないというのはこういう時はいい。ぼくは奈落を下にするロープ上を歩いているのだけど、視力が弱いので奈落が見えない。直下にウジウジムシがいっぱい待ち構えていようと、ヌルヌルクサが落ち人を巻き込もうとしていようと、見えないのだ。

ピンホールサイズの光の穴から、人の心を見るしかない。

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