次世代自転車は糸巻き?

ぼくはうっかりだ。それがどうしたっていうんだ。

今日のことだ。相棒cherryさんと絵画展の展示準備をしたあと、午後、神保町の三省堂さんに自転車で取材に出かけた。仕事場から三省堂本店までちょろい距離だ。「余裕をもって着いたぞ」と思いきや、メッセンジャーバッグにあるべきモノがない。カメラだ。取材にカメラはツキものだ。机の上に出して入れ忘れたのだ。Aha!

ちゃりを飛ばした。また取って返した。飛ばした。やや遅刻だがセーフ。自転車よ!ありがとうを込めて、革新的な動力機構のチャリをテーマに。it’s from ハンガリー。

Their StringBike uses two identical but opposing drive units on either side of the bike which feature swinging arms moving forward and back as the pedals are turned. 引用元(StringBikeは、同一の機構が左右両方に付いており、それぞれのアームはペダルの回転と共に前後に動く)

なんじゃそれと思ったら、まずこのアニメをご覧あれ。

チェイン駆動でもベルト駆動でもない、糸巻き駆動、だから“String/ストリング(糸)”なのだ。

【動力伝達と変速がポイント】
ペダルで回すのは変形三角形のアームみたいなもの。ペダリングで上部に付いているプーリを回し、後輪軸のプーリを糸巻きのように回すわけだ。この2つはダイレクトにつながっているわけではない。第三の小型プーリが車軸を支えるフレームにも付いており、ちょうどロープウエイのようにペダル部のプーリーが前後に動くのである。糸はスチール製ということだ。


普通の自転車では、ペダルは上下または前後に角度が付いたとき、どちらかの足に力を込めて漕ぐ。ビンディングが付いていれば、引きあげる挙動でもペダルを回転できるが、普通のチャリではそんなものはない。だから余計力が必要だし、全ての力がペダルに伝わりきらない宿命がある。この発明では、両足で駆動を伝えられること、さらにアームの動き方で低いポジションから上げるときも楽になるという。

さらにポイントはギアチェンジである。プーリの位置を上下させてストリングの張りを変化させるようだ。こちらにも動画あり。


ペダルを回転させなくても、停まっていてもギアチェンジができる(!)のは凄い。それもショックは小さいという。stringbikeはすでに販売されているらしいが、いくらでまで調べきれなかった(発売元はこちら)。

【ベルトでもなくシャフトでもない】
これまであった“ベルトドライブ”も“シャフトドライブ”もチェーンの置き換えに過ぎなかった。ニーズ自体がチェーンの代替(汚れない、音が出ない)では流行らないのだ。だから消えた。一方このストリングバイクは、動力伝達そのものを斬新な発想で実現した。ギアやチェーンのマイナス要素を根底から考え直した。そこが凄い。ただ何十万もするとすれば、やっぱり流通はしないだろう。この機構をパッケージ的なパーツにまで落し込まないとだめだ。

やっぱり日本からはこういう革新モノが出ない。それは日本の開発現場が旧型から新型へ、差分を設計するだけになっていて、革新を入れようにもその体制がないからだという。困ったものづくり国だ。その話はいずれ書こう。

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