難儀な文字起こしが済みました。
医師の生涯を描くドクターの肖像、ライティングの始まりは文字起こし。単に一字一句文字起こしをするのではなく(それも取材対象の医師に訛りや言い淀みがあるので何度も聞き返す)、発話内容から逐次リサーチを加える。出身地、出身校、恩師たち、小難しい医療用語を読みほどき、国内外の論文も探し、治療法や手技の内容を理解していく。一筋縄ではない。
難儀ゆえに楽しみを発見したい。今回は「ダイエーホークス初優勝とかけて示現流ととく」である。
1999年、王監督の下でダイエーホークスが初優勝を遂げた。その九州出身の医師が、その試合に病院仲間と観戦したのはシーズン終わりの消化試合でチケットが安かったからという。ところが9月25日、129試合目で優勝が決まるから野球は面白い。そして、その年のドラフトで川崎宗則選手がホークスに入団した。
川崎ムネリンといえばチェスト!である。
川崎さんは鹿児島出身で、鹿児島生まれの剣法「示現流」を学んだか知らないが、剣法は猿叫(えんきょう)という絶叫で知られる。イエーイ!と叫んで木の枝を叩く。チェスト!もその絶叫のひとつだ。
実はその医師は鹿児島出身で示現流を学んでいた。だからチェストで結びついたのだ。
チェストとはどういう意味か?なにやら「知恵を捨てろ」という言葉が詰まったらしい。知恵を捨てて感情で動け!無心になって打ち込め!という意味だという。
さてこの医師には知恵がたくさんある。九州大学医学部トップ合格の天才的頭脳である。だがそういう気取ったところがいっさいない。むしろ「衝動で動き」「情けで感極まる」人生を送ってきた。その理由は「知恵を捨てた」のだろうと思い当たった。
知恵を捨てれば、自分の感情が残る。知恵は人を立ち止まらせ、あざとく立ち回らせるが、感情は往々にして正しいベクトルを示す。だから感情に従って動き、そのあとで知恵を出すーこれが正しい生き方なのだ。
わたしのトランスジェンダー化はまさに感情です。だから正しい。もっともわたしにはこの医師の頭脳の100分の1もないのが残念です…^^;
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