ことばのデザイナーのHPを作り直すときに、スローガンを新たに考えないと!と思った。ことばのデザイナーは肩書き、1行のスローガンがほしい。最初に思いついたのは「プラウド」。ゲイ•プラウドという言葉からだが、私にはプライドはない。トランスはコソコソするのを乗り越えていくが、誇るものとまでは私は言えない。
ずっと考えて、その夜に降りてきたのは「感謝」という言葉だった。
トランスジェンダーになって後悔はなく、あるのは感謝。誰かへのというのではなく、なって自分が変われたことへの感謝である。ではスローガンはどうする?日本語には往々にして目的語がないので英語にしにくい。
ふと思い出したのがTGIF、Thank God It’s Fridayだった。金曜日に今週も生きられたことに感謝、トースト!私はトランスジェンダーになれたことを神様に感謝しよう。Fridayの部分をTransgenderにして検索すると、そういう言い回しが英語にはあった。そして感謝を6つ、7つとあげていった。
感謝とはいうが、裏を返せば「試練」でもある。もっと自分を知ろうとか、もっと社会に溶けこもうとか、綺麗にしていなければならないとか、いずれも努力である。
たとえば、ひとを応援することは難しい。オレオレが強いと自分が邪魔をする。心底ひとを応援はできない。いじめるひとや皮肉な上司は応援の心がねじ曲がっているものである。
応援とは我慢比べである。
私は、この春日本ハムファイターズの応援をしだしてから、それを痛切に感じてきた。なにしろ采配ミスもあるし、戦力が乏しいし、1つ勝ったら2つは負ける。応援より嘆いたり怒ったり。それをぐっと堪えて応援をするのは試練である。それは子育てや部下の育成に通じるものである。彼らも言ってできない、やってくれない、プイッとされる。それでもじっと成長を待つ。
今まで私にとっていわば子供も部下もライバルだった。ライバルとまで言えなくても、育てようと芯から思えなかった。だからいろんなことがうまくいかなかった。今、応援する気持ちだけはわかるようになった。
だから自戒をこめて、作り直す名刺の裏にはTGIT、Thank God I’m Transgenderといれた。日々、感謝を込めて努力を怠らず。
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