寒さも峠を越して、いよいよ春が降りてきました。花粉もいっしょに…^^;
さて、今朝降りてきた思いは、世界初の性転向手術を受けたトランスジェンダーを描いた映画『リリーのすべて』の一シーン。最初の手術を受けたあと女性化したリリーはデパートで働きます。勤めた店は香水売り場で映画のなかではリリーがこう言います。
パリでは香水をからだに直接つけるなんてしません。こうするの。
リリーは香水を空中に散布してその下を歩いて、こうしてつけるのというと、お客さんはなっとく顔でした。1920年代のデパートはファッションの先端で、しかも香水売り場ですから、それまでの仕事の画家とは正反対といってもいい。引きこもりが客商売をするイメージ。しかもリリーは解き放たれたように生き生きと働くというシーンでした。
画家とは喜怒哀楽や苦悩といった感情や、奥底に秘められた魂を表現する人ですが、リリーは絵に表現するよりも、自分自身を生きることに意義を見出したのだと思います。トランスジェンダーになることは、自分に正直になって、何かから解脱することですが、リリーは女性になって孤独から解脱しようとしたのだと思います。私もまったく同じ。
私はトランスジェンダーについて文を書きたいですけど、それ以外にもしたいことがあります。「トランスジェンダー•カフェ」を開きたい。性別に悩みをもつ人が気軽に来て、お茶を飲みながらジェンダー転向の先輩や医師に相談ができる場です。さしずめ私はカフェのマダムです。
私もトランスジェンダーへの峠を越えるために、ひな祭りの日に某クリニックを訪ねました。いくつも疑問が解けました。一番の疑問は日本で保険適用のSRS(性転向手術)が普及しない理由。おそらくまだ10数例。クリニックの先生はそんなにないと言ってましたけども。
第一の理由は自費診療と保険診療の混合はすべて自費扱いという厚労省の見解です。今ホルモン補充療法は自費診療で、本来はホルモンからSRSへというのが自然な流れですが、ホルモンを始めたら混合になるのでSRSが保険適用にならない。これは知っていました。第二の理由はさらに現実的な問題で、日本でSRSをするのは札幌医大、岡山医大、山梨大学くらいで、精神科通院を含めて長く通院を強いられる。とするとその病院の近くに住む人しか通院できない。高額の交通費をかけるよりまっすぐタイへ、国内症例数は少ないので手術は慣れていないし。
先生「タイなら手術費は100万円プラス交通費ですよ」
私 「軽自動車なみですね」
先生「軽よりも安いですよ」
日本でまだ使われているGID(性同一性障害)という診断名もWHOの性不適合(Gender Dysphoria)になるとも伺いました。そうあるべきだな、と思う反面、私は自分が障害者と思うこともしばしばありますけれども。変ですみません。
でも気持ちは定まりました。春は新しいことに踏み出す季節。齢は顧みず私も一歩。
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