膠芽腫(こうがしゅ)は脳に発生して周囲に浸み込むように広がる脳のがんである。5年生存率は10%以下、他の脳腫瘍の治療成績が上がるなか、数十年間、5年生存率は変わらない。悪性脳腫瘍のなかでも、もっとも悪性度が高い。(2016年7月号「ドクターズマガジン」)
ぼくが書かして頂いた「ドクターの肖像」、藤堂具紀先生(東京大学医科学研究所)の話の最初のくだりである。藤堂先生の研究は、がん治療用に開発した遺伝子組換えウイルスG47Δ(デルタ)の臨床応用である。5年前に取材したときに聞いた話は、ある膠芽腫を発症した患者Nさんはがんの摘出手術を受け、化学療法も放射線治療もしたが効果がなく、余命3ヶ月と宣告された。そこで藤堂先生がNさんに、世界初の臨床応用で遺伝子組換えウイルスを投与したところ、再発せずに6年も生きつづけた(5年前の話なのでその後もご生存であられることを!)。
ウイルスを腫瘍内に投入して、ウイルスががんを破壊させていくというメカニズム。「がんを死滅させるウイルス」はこれまでの常識では起きないといわれた。ありふれたヘルペスウイルスをつかった臨床研究が夢の治療薬になる。今朝のニュースでついに治療薬の承認まできたかと、感慨にふけってしまった。
Yahoo!ニュースソースはこちら。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b1975df2afa400c3e7590c3e7aad3622cb826d3b
取材してからもう5年が経っている。「先駆け審査指定制度」で審査期間が短くなっているそうだが、それにしても長い。その間に何人の患者が亡くなっただろうか。もっと早く承認できないものか。コロナウイルスのワクチンでもそうだが、審査期間や審査方法では日本は後進国。治験のありかたについても見直しをかけてほしい。
いやなことが3つも4つも立て続けに起きて凹んでいたので、今朝のこのニュースが心のV字転換になるように。
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