題がまるで松下幸之助の本のタイトルのようだが(笑)、自分がなぜこのシンガーに惹かれているのか理由がわかってきた。
昨日は原稿が一行も書けなくて、ブランディ•カーライル(Brandi Carlile)の自叙伝『Broken Horses』を読んでいた。バンドメンバーとの出会いにじんわりとして、自分のなかのゴーストとの闘いに疲弊し、コンサート前にアレルギーになり、家族というものが自分にないことに気づき、運命的な出会いを経て同性婚をして、対外受精で子供を授かった…
おもしろいことに、自分のアルバムがどのくらい売れたとか、どういう評価を受けたとか、PR的なことは書かれていない。後半にあるのかもしれないが、この自叙伝はとことん彼女が感じたこと、思いついたこと、やったこと、泣いたこと、怒ったこと、絶望したこと、嬉しかったことがストレートに書かれている。
それを読んで、僕は自分のことのように感情移入して、喜び、嘆き、悲しみ、叫んでいる。なぜだろう?その時、何かにつかまれたようにこう思った。
この本はひとの心を開かせる本だ。彼女が心を開くからこちらも開こうとするのだ。
僕も心が開いてきたかもしれない。これまでずっとどこか開ききらない自分にどれだけ絶望してきたかわからないから、そうありたい。この本だけでなく、昨年暮れから始めた「腹筋と背筋運動」のせいもあるだろう。からだを絞って自分らしくなれてきた。自分のなかにある異性的な部分にも素直になれてきた。
心を開くことを象徴する言葉が本書にあった。
ブランディの歌を聴いたあるプロデューサーが、「affectationはやめろ」というようなことを彼女に言った。affectationとは何か。辞書を見ると「てらい」「きざ」「きどり」「見せかけ」とある。without affectationで「率直に」という意味になる。
心の声を出せ。
とプロデューサーは言いたかったようなのだ。ブランディは何年後かにその意味がわかった。それで彼女の歌はひとの心を開かせる音楽になった。
今日は原稿がまあまあ進んだ。まだ夜がある…
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