シンガーソングライター、ブランディ•カーライル(Brandi Carlie)の自伝を読んでいる。小学校6年生前後で「家族音楽グループ」の一員としてカントリーソングを舞台で歌っていた。しかしオーディションには落ちまくっていた。どうやらそれは、彼女の個性を表現する歌が違っていたのだ。
年頃のお子様らしく、ブランディのアイドルはジョナサン•ブランダイス(Jonathan Brandis)だった。イケメンだが、自殺した悲劇の子役である。また当時社会問題だったのがエイズである。伝えられるのは「神をも恐れぬ所業」、つまりホモセクシャルの人がなる病気だという。アメリカ人の表向きの顔はピューリタンなのだ。仮面である。
そこにライアン•ホワイト(Ryan White)という血友病の患者が全米の話題をさらった。13歳で汚染血液製剤からエイズに感染し、余命半年と宣告された。血友病のことを知らせるポスターにも抜擢されたが、多くの人は「エイズの子」と嫌った。だが同性愛者を中心に彼を支援する人もいた。ライアンは1990年4月8日に18歳4か月で死んだ。
墓場で歌われた葬送曲は「Skyline Pigeon」、エルトン•ジョンがその死に捧げた曲。その歌をブランディは初めて聴いた。最初は飲み込めなかった。なにしろ「カントリー&ウエスタン」の歌い手なのだ。彼女はその歌を知った衝撃をこう書いている。
Needless to say, I found way more than music.
いうまでもなく、私は音楽を超える道を発見した。
歌は表現なのだ。詩は武器なのだ。エルトン•ジョンもその時に知った。クィーンのフレディ•マーキュリーも、ビートルズも、デヴィッド•ボウイも知った。失読症なのに図書館に通って楽曲の詩を読んだ。ジャンルを超えた歌を聴きだした。聴きまくった。妹と寝る二段ベッドの上で、小さなスピーカーを耳に押し当てたまま、寝た。
ブランディはもはやカントリーシンガーではなくなっていた。
このエピソードを読んで、自分がなぜ彼女の歌に惹かれたかわかった。最初に聴いた「The Joke」は人種差別がテーマ。その曲が収録されているアルバム『by the way, I forgive you』の2曲目、The Jokeのあとの3曲目は「Hold Out Your Hand」、手をあげて叫べ!プラカードを掲げよ!という戦いの歌である。ブランディはカントリーシンガーとして演奏もものすごく良いが、それだけでなく深さがある。そこがいい。
凡才のぼくができることもまたインプット。ひたすら好きなものを読む、聴く、考える。
郷さんのオススメ、どれどれ‥‥と、
「The Joke」の、
翻訳歌詞付き動画を観て震えました‥‥。
昨日から何度も何度も観てます。
またひとつ、郷さんに救われました‥‥。
歌は「訴ふ」もの。
最近学んだ言葉のとおりでした。
また背筋の伸びる思いです。
いつも魂が震える気づきを、
ありがとうございます。
本当にアンテナのセンス良すぎです。
コメントありがとうございました!Brandiのアルバムを聴いて創作への勇気を出しています。
この曲に出会った時、歌詞はもちろんよくわからなかったのですが、一聴で陥ちました。
音楽だけでなく「帽子」まで影響受けています!古臭いカウボーイハットを買って知人にバカにされて(笑)今風のをもうひとつ。