ある本を読んでいると、天才アインシュタインの脳の話があった。
アインシュタインの死後、解剖を担当した病理医が、独断で天才の脳を取り出して保存した。自分だけでは研究しきれないので、世界中の研究者に脳の切片を提供した。ざっと調べたところ「一般人の脳と何ら変わらない」とされたが、詳細に調べると2つ違いがあった。
1、頭頂葉で左右の大脳半球をつなぐ脳梁の神経が太い。
2、ニューロンを結び、神経細胞を制御するグリア細胞が一般人の2倍ある。
右脳と左脳をつなぐ脳梁が緊密であると、脳内での運動イメージ形成力が高まる。たとえば立体テトリスでブロックをどう回転させればぴたりとハマるかわかる。立体模型を空間で回転させるとどういう影をつくるか想像できる。日々小難しいことを考えて脳を鍛えると、ニューロンのネットワークが複雑になり、グリア細胞は増える。
アインシュタインの相対性理論とは、空間でのモノの等速運動や空間の歪みを理論化したものだ。つまり座標軸上での思考力。かれは相対性理論のことを考えぬいて、座標軸転換頭脳をもったのだ。
凡才の自分はどうか。非常に単純である。資料をインプットして寝る。するとことばが明け方降りてくる。脳内でことばを整理して、一番たいせつなところを言語化してくれるのだろう。降りてくるのは構成やキーワードやタイトルである。それで原稿が終了する。
原稿修正指示から考えることもある。S編集長が「この医師は女性の味方です」「女性の願いを叶えた人です」だからそう書けという。そのことばを集中して考えて「手術の概念を変えた人だ!」とひらめく。普通の外科医は「手術に低侵襲(小さな傷)を取り入れる」が、この医師は「低侵襲の手術から始めて」「低侵襲の医療を創造した」という姿が見える。そこまでどのように努力したか、なぜそうしたかったのかを書けば原稿終了。
おそらく脳内には「文脳梁」や「グリア文細胞」がある。ことばをぐるぐる回して文にハメる。文章軸を回して構成をつくる。全体視してタイトルを決める。文脳力アップをこころがけたい。
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