伝記を読む。

人物を書くために伝記本を読む。その人物の著作や業績を知ることはもちろん最初にやるが、古い時代の人であったり情報が乏しかったりすれば、その人物を描いた伝記本に頼ることになる。

ただすでに伝記本は、その作家のフィルターを通して書かれている。その伝記作家の人物像がそこにある。たとえば野口英世=アフリカまで研究に行った偉人という伝記がある一方、彼の手段を選ばない野心や自己中心性、自己陶酔の業績などを描く伝記もある。どちらが正しいのか?どちらもあるね、人間はバランスの上で生きている、となりがちである。

それは意味がない。自分なりにその人物をつかむのだ。オリジナリティある野口英世を創ることが最新の伝記作家に求められている。そこで3つのことを留意しながら伝記を読む。

【Fact 事実】
伝記を事実と意見をきっちり分けて読む。事実は必ずその人となりがある。意見には「判断」「憶測」が加わっている。意見を捨て、事実をつかむ。

【Imagination 想像】
何をした、何を書いた、誰と会ったという事実には、必ず、そうする事情や動機、性格がある。事実からそれを想像する。その想像こそ、伝記をオリジナリティあふれるものにする唯一の技である。

【dots 点】
Steve Jobsの言った「Connecting dots」という意味もなくはないが、というよりも「点を重ねていく」。その人物の事実と想像からわかってきたことを、点描画を描くようにどんどん敷き詰めていく。その人物のシルエットと内面が増えていくように。

加えて「外伝」に人の真の姿が現れる。

井上雄彦は『バカボンド』で吉川英治原作から宮本武蔵を描いたが、一乗寺下り松の百人斬りや巌流島の決闘よりも、武蔵が悩んでたどり着いた千葉の法典ケ原で農民と共に水害や飢饉と闘うシーンが素晴らしい。武蔵がそこを放浪したのはFactだが、その活動は井上氏のImaginationである。剣豪の真の姿を剣を持たない日々で描ききった。

吸盤で高いところをつくる。アイデアは良い商品だが……

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