朝悶えることもへったな【エミリ•ディキンスン#12】

原稿仕事が終わり、疲労のトンネルをくぐると、そこは加齢なる墓標…^^;; 年はとりたくないものだ。エミリ•ディキンスンの詩を一篇訳して若返えりつつ考えよう。

次の詩をどう訳すか?が今日のテーマ。Emily Dikinsonの『The morns are meeker than they were -』まず原文をあげよう。

The morns are meeker than they were –
The nuts are getting brown –
The berry’s cheek is plumper –
The Rose is out of town –

The maple wears a gayer scarf –
The field – a scarlet gown –
Lest I sh’d seem old fashioned
I’ll put a trinket on!
(#12)

1行目のmornは朝っぱら、meekerはおとなしくなったという意味だ。なにがおとなしくなったのだろう?2行目のナッツとは何だろう?3行目のberryは木の実のベリーと下腹部のベリイをかけている。下腹部がぽっちゃり……だとすると、ナッツは乳首にちがいない。歳をとると黒ずむでしょう。Roseとは薔薇だが、これはアナグラム。アナグラムとはLive(生命)はEvil(邪悪)となり、Silent(静寂)はListen(聴く)となることばの遊び。RoseはEros(エロス)である。もともと薔薇にはエッチな意味もあるけれども。

この詩は中年になった女の悲哀がテーマだ。容色は衰え、しわも増え、色つやが落ちていく。ナッツは顔色でもあり、ベリーは頬や唇の暗喩でもあろう。恋のために町を出て駆け落ちしたのももはや過去。死ぬまで恋=エロスを求めていたいのに……これが第一連。

第二連は全体に「でも、がんばろう」みたいな意味だ。maple=かえでの木がイメージするのはシワだらけの首すじだ。そこにはゲイがするように派手なスカーフを巻く。fieldとは地肌のこと。真っ赤なガウンで隠そう。Lestとは「〜にならないように」という意味である。trinketとはじゃらじゃらした首飾りのようなもの。そんなものつけると、かえって年寄りに見えるけどね…

一連、二連を通してことば遊びがある。meeker-cheek-seem、brown-town-gown。言葉遊びもテーマなのだ。さて、訳してみよう。

朝悶えることもへったな
胸のどんぐりは色濃くなり
下っ腹はぽっちゃりとして
薔薇(エロス)と縁がきれたわ

首にはドハデなスカーフまいて
地肌には紅色のうわっぱりまとう
おばさんといわれないように
ジャラジャラと小物をつけようか
(ことばのデザイナー訳)

1行目はオトコなら朝勃ちが減ったという意味だ。女のことは知らない。ひとはだれしも中年以降に、一度は狂いだす。性に走るか、ファッションに走るか、若かりし頃を求めて針を戻そうとして、戻らない針にいらつくのか。それを単に更年期障害とかたづけてはならない。この時期は「あのときやっておけばよかった」がもたげてくるのに、体がついてこないのだ。

たとえば、本当に好きな人と愛しあえず、「代わり」と結婚した。けっきょく、好きになれなかった。もう一度恋をしたい。でも現実の自分を鏡で見ると、もはや恋が似合わない。後悔やあきらめに埋もれてしまう。

そこで男はモノに走る。クルマを乗り換え、バイクにまたがり、アウトドアへ行く。女はなぜか学校に通いだす。まれに起業するひともいる。理由はわからない。僕は行き場のない恋煩いを消すために旅にでたい。まさにそれは墓標への旅になりそうだ…その前に雑文をひとつふたつ書きおえてからだが。

美味しいかな…

※エミリ•ディキンスンの詩の研究はもっぱらnoteで書いてます。
https://note.com/cotoba


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