野村ノートで野球を深く知る。

ウイルス騒動の喧騒のなか、名監督の葬儀もまた延期された。野村克也氏である。青山葬儀所で3月16日に関係者や一般ファンを集めて葬儀を執り行う予定だった。ウイルスタイムがかかって後日に仕切り直し。監督は地下に入れず、ぼやいているだろう。

これを機会に監督の本を何冊か読もうとしている。「野村ノート」にはいいことがいっぱい書いてある。

人生という二文字から私は次の四つの言葉を連想する。
「人として生まれる」(運命)
「人として生きる」(責任と使命)
「人を生かす」(仕事、チーム力)
「人を生む」(繁栄、育成、継続)
(「野村ノート」P28)

人には定められた運命があるだけでなく、運命を変えるための努力がある。どういう人になるか、なれるか必死でがんばる日々がある。一定の高みに達したのちは、その視点を、自分から他者に向ける時である。己を殺して人を生かすのだ。その人育てを果たしたとき、ほんとうの意味で寿命を迎える。いい生き方ではありませんか。野村監督はこの人生の四文で自分を成長させ、野球人を観て分析し、育てていたのだろう。

才能溢れた野村監督でも、思うようにならないことが二つあるという。

ひとつは「人間はひとりで生きていけない」ということ。
もうひとつは「自分の思うようになることはほとんどない」ということだ。自分の思うようにしたい。ところが現実はなかなか思うようにならない。そこに理想と現実のギャップが出てくるわけだが、だからこそ努力が必要である。自分の思うようにするため努力していく。その先にあるのが理想であり、夢であり、希望であり、願望である。(同P182)

ひとりでは生きていけないからチームをつくり組織をつくる。だがなかなかうまくいかないもの。そこでチームとは何か、どうすればまとまるのか考える。監督は「俺は月見草」と言って日陰者のふりをしたが、実際はストレートにモノを言う人であった。阪神監督時代にオーナーを激怒させるまで直言した。そのおかげで次の星野監督時代に阪神は優勝できた。モノを言うことが組織づくりの原点であろう。

リーダーの三つの役割を次のように監督はまとめる。

1、リーダーいかんで組織はどうにでも変わる
2、リーダーはその職場の気流にならなくてはならない
3、リーダーの職務とは「壊す•創る•守る」(同P204)

1番は安倍総理を見ていればよくわかる。2番は「感奮興起」という言葉を野村監督は使う。感じて奮い立たせるリーダーたれと。3番は戦国武将にたとえる。信長=旧社会の破壊者、秀吉=新価値社会の創始者、家康=既存事業の維持者。昨年の巨人、原監督は引き継いだチームを壊しきれなかった。今年は壊さないと優勝はないだろう。

本書の最後の方で、江本投手、門田選手、江夏投手の話が出てくる。「三悪人」と呼んでいたそうだ。

トレードで獲得した江夏はふてくされていた。とんでもない球を投げてゲームを壊した。監督は「お前、八百長やってないだろうな?」と江夏に直球を投げた。江夏はむっとしたが、自分に直球を投げる監督は初めてだったので、心を開いた。そして球界を代表する救援投手に変身した。

門田には劣等感があった。ものすごい頑張り屋で、とにかく頑固だった。だから監督は突き放して自由にさせた。結果は大打者になった。

江本は長髪で帽子が膨れていた。なぜか?自分でかっこいいと思っていたのだ。監督は、江本に背番号16を与えて「お前は将来エースだから、良い番号をあげる」とおだてた。その結果、エースになった。

野村監督は選手成績は超一流、監督としてもすごかったが、野球を奥深い人生物語にした功績が一番印象的である。野球のおもしろさは人間にあり。グラウンドの外にあり。あと2つ3つご著書を読んでみます。図書館にありますから、皆さんも読んでみてください。


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