ラガーマンから教わったラグビー観戦のポイント

ラグビーをどう観るか教えてくれた先生のおかげで、昨日の試合(対ロシア戦)がものすごく楽しめた。

2019年ラグビーワールドカップ日本大会。開会式後の初戦は日本対ロシア。基本的には日本が格上とはいえ、過去拮抗した試合もあったし、何よりも世界大会の初戦、それも自国開催である。アガるなという方が無理だ。ヤハリ最初は固さがあってトライを奪われて、そのあとも攻めあぐねた。しかしワントライを返した後の前半34分、逆転トライ成功!と思ったところがノックオンで取り消し(下の画像)。ありゃりゃ……と思えば、いやいや、選手たちの表情には「集中した余裕」が見えた。笑顔が見えるじゃないか。

あの松島のトライミスのとき、「これは勝てる」と思ったのではないか。これを続ければいけると。

先般「ドクターの肖像」でインタビューした医師はラガーマンだった。ラグビーで人生を変えた男は高校で大いにシゴかれ、大学で弱きチームを立て直して全国制覇を成し遂げたNo.8である。順天堂大学ラグビーの伝説の男、宮野武氏よりも数年後輩で、その話を振ると「ああ、鬼の宮野ね」と笑った。順天堂栄華の後、その先生の大学がトップになったわけだ。

さてその医師は、ラグビーをどう観るか、3つポイントを語ってくれた。第一に「ファーストスクラムでわかる」。

試合が始まり相手と当たる。当たったときに相手の力が伝わる。それでいけるかどうかがわかるというのだ。この「当たって分かる」には余談がある。2015年の前回のラグビーW杯、日本代表が29ー32で南アフリカを3点差で追ったシーン。後半36分に反則を得た。ペナルティゴールなら3点で同点にできるのだが、日本はあえてスクラムトライの冒険を選んだ。なぜか?

皆スクラムで勝てるとわかっていたんです

と医師は解説してくれた。結果は押して5点を得て34ー32の大逆転劇を演じた。第二に「No.8のポジション」である。この試合では姫野選手が担っていた。戦況を把握し、どう展開するかを判断し、ボールを動かし、試合を作る。No.8を見ていると試合の流れがつかめる。いやラグビーのおもしろさはポジションが明確なところだ。小さい田中選手も、おじいちゃんの38歳のルーク選手も、みんな体格やスピードを生かせるポジションがある。自分の役割に徹して、みんなで試合を作れる。

三つ目は「ノーサイド」。試合が終われば敵味方なしという意味であるが、試合中もフェアプレイに徹すること。プレーは激しく頭脳はクールに。昨日のロシア戦では、ジャージを着て観戦する安倍首相の姿が見えた。ノーサイドスピリッツのおかげで、大嫌いな安倍首相も、試合中は同志であると思えた。

以上の3つのポイントは、人生の生き方にも通じるので覚えておこう。

待てよ、もう一点あった。ラグビーでは「ヒーローを作らない」。3点取った松島選手はすごいが、彼だけで取ったわけではない。スクラムを組んで、相手を押し、ボールを出して、つないで、つないで、つないで、取った。みんながヒーローである。そのラガーマン医師はこう言っていた。

「前回のW杯では不幸なことにヒーローを作ってしまった」

五郎丸選手である。フランスでイマイチだった。ヒーローを作らないというのが「One for All, All for one」である。ひとりはみんなのために、みんなはひとつの目標のために、というラグビースピリッツにつながる。

マア今回の日本大会で決勝進出の快挙を成し遂げれば、その時は一人二人、海外で活躍できる選手が出てくるのだろう。レベルをあげるとはそういうことだ。日本の試合は少なくともあと3つ楽しめる。いや、世界のトップの試合が楽しめる7週間、誠に素晴らしいです。

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