流れ星のごとく

けしかけているわけじゃなく、おとなしくせよというわけでもない。だがしょせん人の一生は花火のごとし。短くも儚いもの。ならば美しくジタバタしたらどうだろうか。

歯医者の待合室のテレビに、甲子園の野球大会が映し出されていた。塁上にランナーを背負って、真っ黒に日焼けした投手の首筋に、汗の玉が光っている。対する打者はきりりと手入れ十分の眉毛で投手を睨んで、バットを立てた。青春のほとばしりは大画面の効用である。打者はファウルを打った。そのボールはスタンドに飛び込んだ。

そのスタンドでは、ベンチ登録の数倍の規模の試合に出れない部員たちが、メガホンをもって応援していた。50人はいるだろうか。だがこのスタンドのはるか向こうには、甲子園大会予選に敗北して出場がかなわなかった10数万人の選手たちがいる。彼らは果たしてテレビを見ているのか、グラウンドで汗を流しているのか…

そんなことを考えながら、歯科衛生士さんに呼ばれて、デンタルチェアに横になって口を開けながら、なお思いにふけった。ある「元天才選手の話」の記事である。

小学校ではめちゃくちゃ才能があると言われて、投手兼4番打者をした。中学でもエースだった。誰もが絶対プロにいける逸材だといった。だが高校に入って肘を痛めた。投手は諦めて野手にしぼって練習に明け暮れた。幸運なことにその高校は甲子園出場を果たした。その子は代打で出場し、凡フライを打った。全力疾走したが、塁上には立てなかった。その高校は一回戦で敗退した。その子は卒業後、大学や社会人で野球をせずに、柔道整復師になろうとした。それまで、親やコーチが自分にしてくれた恩に報いるためにと、言って……

美談である。それを聞いた多くのひとは、かれの選択にうなずき、素晴らしいと言う。中途半端に野球をやるより、現実的な選択をした潔さを褒め称える。なぜなら才能がある者はほんのひと握りで、それも死ぬほど努力をして、運にも恵まれ、それで1000人にひとりになれるかどうかだから。

だがかれは「やりきった」のだろうか?

わからない。そもそも「やりきる」とはどこまでのことなのか、「それにて終わり」という音でも鳴るのか… かれに直接聞かなければわからないし、聞いてもわからないかもしれない。

そう思うのは、ぼく自身が「やりきってない」という思いがあるからだ。

まだジタバタしている。ぼくはサラリーマン生活の中には、やりきるほどのものが見つからなかった。それはだれかがつくった組織であり、商売であり、路線であった。それも相当に自由度は少ない。やりきるかどうかより「勤め上げる」という表現がしっくりくる。やりきれてないから、今朝も5時から、何か書いている。書き続けている。

そういう自分のこころがつくる幻影なのだろうか。不思議なことに、明け方「啓示のようなもの」が降りてきた。これを書きなさいということば、あるいはテーマである。

それは、これまで考えたこともなかった人間の深いところの心理である。とても書けるかどうかわからない。でも、ああそれは書くべきだと素直に思えた。使命であるように感じた。ちょうど今日、ひとつの文をあらあら書き上げたので、今度はその降りてきたテーマを温めてみたいと思う。

そういえば数日前の夜、ペルセウス座流星群が最大の日、思いがけなく流れ星を見た。ほんのゼロコンマ3秒だろうか。あまりにも短い流星よ。

大宇宙ギャラクシーのなかにわたしたちはいる。人の命も、願いごとも、それらへの執着も、この大宇宙から見れば一瞬のことだ。やろうがやるまいが、大差はないのだ。それならばやってみればいいじゃないか。やりきればいいじゃないか。報われなくても、恥ずかしくても、どアホウといわれてようとも。ことばが降りてくるうちは、やりきっていないのだから…

ちっちゃな投影装置で天井に写しました……^^

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流れ星のごとく」への1件のフィードバック

  1. Happy birthday 🥳.
    Tried to send you a mail through your email, somehow it cannot send.
    I hope this special day will bring you lots of happiness, love and fun.

    麗珠

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