スランプからの脱出方法

野球は人生論を重ねて観やすいスポーツである。他のスポーツでもそれはもちろんできるが、投手や打者の好不調、監督の苦悩ぶりがよく伝わってくる分、野球は圧倒的である。

最近改めて「そうだな…」と考えさせられたのが、元投手の山本昌氏のコラム。(サウスポーの視点 2019年7月14日 日本経済新聞)50歳まで投げた大投手のコラムでは、プロにはスランプがつきもので、今年なら巨人の菅野投手、それにテニス四大大会2連覇の偉業を達成した大阪なおみ選手を挙げていた。

なおみは心配だが、菅野投手は悪くてもそれなりに勝っているのがすごい。一方、現在、原巨人が負けが込んでいるのは、勝ち過ぎてきた反動だろうか。広島カープがようやく盛り上がってきたのは、連敗連敗で雰囲気最悪のところで監督が選手を殴るという事件があって、それがガス抜きになったのか、見違えるように勝ちだした。

好不調にはリズムがある。調子のいい時があれば悪いと時が来る。もてはやされてから一気に空転する、病からカムバック、出処進退を賭ける時、働き方改革で投げすぎを回避する時もある。好不調の原因は、自分自身のリズムの変化もあろうし、環境の影響もあろう。ファンの心無い言葉もあろう。だがそれらを飲み込んで、乗り切っていくのがプロである。

好不調で思い出したのが、12年で1サイクルという話である。

山岡荘八氏の「徳川家康」には、晩年の豊臣秀吉が12年のサイクルでどんどん悪い方向に落ちていったことが書かれている。

50歳で九州征伐を終えて全国を併合した。だが戦の子は平和へと舵を切る政治がイマイチで、我が子を55歳で亡くしてから自分も病となり、朝鮮出兵中に62歳で死去。最後の2年は特に不幸の連続だった。人生は12年で1周、不幸のラスト2年をどう乗り切るか?人生60年ならそれが5回続く、というわけである。

その12年はこう分解できる。12のうち2は最良で、2が最悪、引いて残った8のうち4は、だんだんと良くなる時期で、残りの4はだんだん悪くなる時期だ。自分は今どこにいるか?そういう流れを意識せよ、悪い方向にあるならジタバタせずに流れに身を委ねて、静かに流れをつかみなおせ、というのだろう。

山本昌氏も「こんなときは調子が良くなるのを待っているのではなく、もがいた方がいい」と書く。好調時の映像を見てフォームをチェックするのもいいが、ただし、いい時と「同じようにしよう」と思うな、という。記事から引用しよう。

大切なのは、映像のフォームを再現しようとしないこと。映像と自分の感覚には絶えずズレがあり、映像に一致させようとしてもいい感覚は戻ってこない。では何をするのかというと、好調時に何を意識して投げていたかを思い出すのだ。正しい方向に意識が変われば、フォームも自然と矯正される。

「好調時の動き」ではなく、この「何を意識していたか」というのがポイントである。

良い時は何が頭の中にあっただろうか?自分の仕事で考えてみよう。ぼくの仕事(原稿書き)でいえば、「キーワード」である。文がまとまるときは、ひとつのキーワードから構成を組み立てている。逆にキーワードがぼんやりしていたり複数あるときは、あとで書き直しに苦労する。

「動き」ではなく「意識」にフォーカスせよという意味は、良かった時とはいえ過去と同じことをするな、という意味である。過去に比べて今はマッチョなっているかもしれない。いや単にハラが出ているのかもしれない。体が変わっているのに、同じやり方にもどってもダメ、なのである。だから動きではなく意識を思い出せという。これはベテラン歌手が若い頃のヒット曲をいかに歌うか?ということのヒントにもなる。

さて、意識にフォーカスできたら、もう一つ意識すべきことがある。「攻めと謙虚の二つを意識せよ」である。

「攻め」の気持ちは持つべしである。あがいて、叫んで、これでもか!このやろう!ちくしょう!と戦っていきたい。エネルギーを出さないとスランプから復活できない。だが「戦う相手」は誰だろう?それはたいてい「自分」である。思い上がった自分、誰かのせいにしたい自分、自分を見失った自分である。人を攻めてばかりいると突破口は生まれない。代わりに責めるべきは自分だと、どこかで頭を冷やして謙虚にならないといけない。

ゾウダゾウ……失礼しました。


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