全然大丈夫

昨日は「大丈夫?」と何度言われただろうか。5回も6回も注射麻酔を打たれ、そのたびに歯科医に「大丈夫?」と言われ、歯科衛生士に「大丈夫ですか?」と聞かれ、ぼくはそのたびになんとかうなずいた。麻酔がズワンと効いてからも、患部の穴をほじくるたびにまた「大丈夫?」と聞いてくれた。なぜならそれまでの数日、ちっとも大丈夫ではなかったからだ。

じつにひどい歯痛だった。右がわの奥歯である。熱いものはなんでもしみて歯ぎしりもできない。左がわはそもそも歯が足りないので噛めない。だからここ一週間ちかく毎日、おかゆとパンである。ラーメンをつくっても、もやしも麺ものみこむので、胃の調子がたいそうわるくなった。数日前に買った大根の葉を炒めて熱いご飯と食べる至福はおあずけである。炒めた葉っぱは捨ててしまった。

全然大丈夫です!

とこの画像のホワイトボードの一番上にあるように言いたかったが、そうも言えなかったのである。

この画像のフレーズは、先日水曜日の「ベトナム人留学生就活支援講座」でのひとこまである。「ぐっときた日本語」をひとつあげて、それをもとに90秒スピーチの練習をした。歯が痛くて講師稼業もつらい日だったが、スピーチはすばらしくよかった。「全然大丈夫」という、肯定でも否定でもある言葉をおもしろがる外国人はさすがである。ほかにもおもしろい言葉を選んできた。みんなメモも見ないで自分の言葉で思いを伝えてくれた。スピーチ、上手くなってきましたね。

昨日の口腔外科の穴掘り工事のおかげで、歯痛もずいぶんよくなった。これなら仕事で図書館にも広島にも「全然」行けそうだ。どうしたら元気が出るのか、最近聞いたコツがある。

大きな声を出す。

大きな声をだすと、まず周りの人が「あの人、元気やねー」と思ってくれる。自分でも自分の大きな声を聞くと元気になる。それを「パラクライン効果」といって、細胞が隣の細胞に作用して活性化させる仕組みである。ちなみに自分で自分を鼓舞するのは「オートクライン効果」といい、離れた人に影響を与えるのは「エンドクライン効果」というそうだ。

もう一つは、健康心理学である。

人間の健康はからだという部分的問題で理解するのではなく、こころも含めて全体で理解せよ、という教えがある。さまざまな心理学者や社会学者が健康になる心理を説いているが、そのうちおもしろいな、と思ったのをあげよう。出典は中川米造氏の著書「医療の原点」から。

オルポート(Allport, Gordon W.)は健康人とは「成熟した人間」であるといった。その内容は次のとおり。①自己感覚の拡大、②他者と暖かい関係を持つ、③情緒的安定、④現実的知覚、⑤技能と課題を持つ、⑥自己客観化、⑦統一的な人生哲学。なんとなくこれはわかりやすい。

フロム(Fromm, Erich)は健康人とは「生産的人間」とした。内容は、①連帯性、②超越性、③根源的つながり、④アイデンティティの感覚。フロムの本は読み込んだ。生産的になることが人を前向きにする、というのはとても大切である。サボるな。

パールズ(Perls, Fritz)は健康人とは「いま、ここに生きる人間」とした。その内容は、①十分な意識性を持ち、実際の自分を受容している、②みずからの衝動や願望を表現できる、③自分自身の人生に責任を負う、④他人に対しては責任をとらない、⑤幸福追求に執心しない。「他人に対して責任をとらない」とはどういう意味か。おせっかいしない、ということだろうか。幸福追求に執心しない、というのはわかるような気がする。幸福を標榜する宗教団体の人びとは、微妙に幸福そうには見えないでしょう。

最後にもう一つ。それは“ t ” すなわち時間である。

ずっと痛いとか、ずっと雨だとか、ずっと落ちこんでいるとかはない。時間が解決してくれる。痛みあれば痛みなき日がくる。雨あれば晴天の日がある。落ちがあればアゲがある。ですから全然大丈夫。

立派な葉っぱを切った大根。

炒めた葉っぱですが、食べれなくて捨てました。

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