2018年の2期目の「ベトナム人留学生就活支援講座」、昨日で終了。最後の講義テーマは「10年後の目標を60秒スピーチする」でした。
今年の生徒たちは「まじめ」で「地に足がついて」「育ちがいい」人が多い。結婚している人も2-3人いる。今年に比べて5年前の留学生たちは、新聞配達のバイトを住み込みでする子も多く、ハングリーで「やったろー!」という熱いのが多かった。ところが祖国の経済成長を背景に、だんだんと優しくまじめになって、生活を重視したい人が増えてきた。
スピーチを聴いてもそれが実感できた。毎期の最後の講義で語ってもらう「10年後の自分」、今期の17名はどんなだっただろうか。
「プロジェクトの成長と共に自分も成長する」という子がいた。ITの会社に入って、関与するプロジェクトサイズを大きくする。数名のプロジェクトから10名、30名…とより大きなプロジェクトへ。チームメンバーからチームリーダーになり、もうひとつ上のプロジェクト統括になり…と。優等生の答えです(^^)。
一方「社長になる」という人もいた。日本で?祖国で?と聞くとあやふやだが(笑)心意気はいい。現実的かつ可能性が高いのが「新規事業提案」「社内提案」である。就職先の会社で企画し、提案することで、そこでなくともどこかで社長になる可能性が出てくる。
英語をがんばる、MBAの資格を取るという人もいた。MBAを1単位ずつ取ったりTOEFLをがんばるのもいい。日本人は英語ダメだから留学しなくった。だから衰退する一方なのだ。
また「10年後は年収600万です」と語った人がいた。10年後、そんなもんかなあ…もっと大きな額の目標を持ってもいいけれど、慎ましい学生よ!「10年後は36歳です」というリアルな発表も二人いた(この講座ではベトナムで大卒の人も多いので24歳くらいが平均)。年齢を意識すると目標はリアルになる。夢に日付を入れよ!というのはそのことだろう。
「ベトナムの問題を解決する」という人もいた。食の安全や環境問題だという。それは素晴らしいが、その一方で「架け橋になる」という留学生がよくいる。今回も2名の発表にその言葉があった。「架け橋とは何だろう?」貿易業?人材育成や紹介業ですか?うーん…なんか具体的じゃないんだよね。
国と国の架け橋になるには何ができればいいのか?国際的に大活躍している、ある専門分野を持つ医師から教わった英単語を紹介した。それは、
controversy「議論すること」である。
その医師はその専門分野で、conroversies conference「議論する会議」を開き、英語でやりあってきた。議長をして、結論が出せるまで延々とDiscussionする。それは「専門分野」をもたないとできない。留学生たちも日本で専門をつくり、ベトナムや東南アジアの国々で広められるだけの議論ができるーそれが架け橋ではないだろうか。橋を手ぶらで渡ってもしようがない。
もう一つ脱線するが、ふとネットニュースを見ると、メジャーリーグの大谷翔平選手が帰国して記者会見を開いていた。彼のは留学ではなく出稼ぎだが、コメントの中で印象に残った言葉があった。
「今年くらい、結果が出なくてシーズンに入ったことはなかった」
メジャーに移籍した春先は不安でいっぱいだったという。だが彼は「挑戦しにいった」のだった。だから「壁に当たった」けれども「挑戦相手を分析し」「自己分析をして」「課題を明確に」することで「自分のやり方を変えながら乗り越えた」。具体的には足を上げて打つ打法から、すり足打法に変えた。彼から学んで、10年後の目標をこう言い換えるとリアルになる。
「10年後、自分は生き残れるだろうか?」
生き残るためには武器が必要である。武器をもち、弾を込めなければならない。弾を装填し続け、撃ち続けるモチベーションはなんだろう。留学生たちは答えを持っていた。
「家族」である。ある人は「円満な家庭」をつくることが10年後の目標だと語った。他にも「永住ビザを取る」という人もいた。夫婦揃って働くが「夕ご飯は一緒に食べる」という人がいた。家族の幸せのため、社会の幸せのため、それが自分のためになるーという順序が理想だろう。
結局「誰かのため」がブレていると、どこかでへたる。仕事ざんまいですれ違い夫婦、そして不倫。不満分子になりはてアルコール依存やDVになる。家から笑いがなくなる。とにかく家族がめちゃくちゃ大事である。それを壊した自分がいうんだから間違いない(笑)
すんだ後のほっとした慰労のパーティは和やかでした。
10回の講座で、就活での支援はもちろん、彼らの長い人生に少しでも「花」を添えられたなら幸いです。(柿の皮の花です)
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