人間と医のライター

滞っていたあれこれが、するりと落ちていった。そこで、落ち着いて次の次の「ドクターの肖像」のテーマである「救急」を学んでいる。

この本は、今回の対象の医師とは直接は関係がないが、救急の背景がわかればと思って図書館で借りてきた。ちょこっと読み出しただけで、「こんな歴史があったのか!」と思い知らされることが多々あった。

まず救急とは何か?僕を含めて一般人は米国ドラマ『ER』あたりのイメージが強く、寝ずに働く救命医による救命が第一で、救命後の患者は本科(脳外や心臓血管や整形外科など)に送られ、そこまでが仕事であると。だが川崎医科大学附属病院(岡山県)で救急をゼロから立ち上げた小濱啓次氏(川崎医科大学名誉教授)は、救急医学の領域を本書で次のように書いている。

病院前救急医学(ドクターカーやドクターヘリ等救急体制)
ER(初期診断と初期治療、トリアージ等)
災害医療(トリアージ、広域搬送、PTSD等)
外傷学(外傷診断、治療、ショック、感染症等)
救命治療医学(呼吸管理、循環管理、体液管理、血液浄化、熱傷、中毒等)

小濱氏は上記の機能を総合的に持つべしといい、「大学病院は24時間救急診療をせよ」と書かれている。その通り、小濱氏が率いた同院の「高度救命救急センター」では救急で手術までできる医師をそろえ、どでかいICUを備え、日本初のドクターヘリ運用を開始した。

元々、聖路加国際病院の日野原医師に薫陶を受け、「日本の救急の父」と呼ばれる恩地裕氏(大阪大学名誉教授)に救急への道を授けられた小濱氏は、なんといっても「気概ある人物」である。

同じ院内なのに「診療科目が違う」といって協力惜しむ学閥派の教授や医師と戦い、救急のカルテはカルテとして認めないという病院管理部門の無情と戦い、病棟のベッドを救急患者に使わせないぞという看護部長と戦い、ヘリの予算を出せと理事長に直談判で迫った。導入準備は整ったが、消防庁の「ナワバリ」に触れて導入が遅々と進まず、阪神・淡路大震災でヘリが導入されていればもっと人が助かったと、机を叩いた。救急の学会が「手術ができない」教授ばかりになって、「ER型」の振り分け救急になっていることを嘆く。

生死の最前線である救急という現場は、彼のような「気概ある人物」によってつくられてきたのである。先日インタビューをした医師にも、小濱氏と同じものがあった。救急の歴史の背骨に「救命に心燃やす人びと」がいるのがわかった。

最近、ある方から「医療や医学を書く人としての肩書き」を求められた。メディカルライターというのでは具体性がなく、差別化もなく、忘れられてしまうし、メディカル=医療であって医学(メディスン)が落ちてしまう。「ことばのデザイナー」は悪くはないが(^^)、「医療や医学」ということを考えて、次の肩書きを考えた。

人間と医のライター

結局、人間のことが一番書きたい。医療制度や医療機器や病院経営などあまり興味がわかない。医者や患者や関係する人々を書きたい。「医」をめぐる生と死を書きたい。

この肩書きが世に出れるか出れないか、ようやく勝負する時がきました。

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