診断の名手

いかに見抜いてやろうかと楽しく書けた。ドクターズ•マガジン、ドクターの肖像は下村登規夫氏(さいがた医療センター院長)。

病は気から始まる。たいていは本人に自覚症状があるが、自覚がないところから始まる病もある。それは本人でさえうまく説明できない。その時、助けとなるのが医師の診断である。だが助けになる医師がどれほどいるだろうか。たった3分いや2分、患者の言葉もろくに聞かず、しかも見ず触らず、ステレオタイプの診断を下されることが多くないだろうか。大学病院でさえ、生死を分かつ診断が必要なとき、自分の専門からしか診断できない専門医が多くないだろうか。

だが神経内科の診断の名手である下村氏は、他の医師が常識的な診断を下す中で、生命の力を深いところから診断を下す。最初のくだりを引用しよう。

ーこんな患者をよくずっと診ているな。下村は相変わらず変わっているな。
 下村氏は先輩に食い下がった。
ー先生、これは脳死ではありません。
ーどう見ても脳死だよ。

医師なって3年目ほどの若き下村氏だけが、自発呼吸のない患者の呼吸器を外そうとする先輩医師に立ちはだかった。彼はこれはパーキンソン病が悪化して会話が困難なだけで脳死ではなく意識はあると言い張った。先輩たちは「では証明してみろ」、下村氏は「証明しますから待っていてください」と言った。数日かけて容態を落ち着かせた。弱々しく自発呼吸を始め、やがて意識がもどり、自分で食事をとるまで回復した。患者の妻は下村氏に感謝した。この話は後日談があるが、そこは本誌をどうぞ(^^)

なぜ彼が医師になったか、なぜ診断の名手になったか、そこには心の物語がある。相当考えないと髄が書けない人であった。もちろん毎回気合は入れているが、奥深いものがあるとよし彫ってやろうと気合を掻き立てられる。そういう医師だった。そのおかげか下村先生にも喜んでもらえたようだ。編集部に届いた手紙の一部である。

下村氏は独特のユーモアもある人で、以下のくだりは字数の関係でボツにした。彼がオーストラリアの頭痛学の世界的権威Lance教授のところに留学•研究したときのエピソードである。日々の指導はPeter Goadsby医師であり、オージーの彼の発音は時にわかりにくかった。

「彼は『He am … 』と文法を無視して話すんで、『なぜHeにamが付くんだ?』と訊くと、それはumm…(アム…)だと言われました(笑)。逆にPeterは『日本人はなぜ〝8〟が好きなんだ?』と訊くんです。なんだろうと思って『ええと…』と言ったら、彼の質問がわかりました(笑)」

さいがたは新潟の外れと言ったら失礼だが、この病院に北陸一帯からはもちろん、一都三県からも、名診断を求めて診断が難しい神経病の患者が多数訪れる。サンプル誌が2、3はあるのでご希望の方はメール(go@cotoba.jp)でご連絡ください。無料でお送りします。

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