突っ込めインタビュー

珍しくインタビューの前に、ある医療者の本を何冊も読んでいる。

執筆準備なら資料を読むのは当たり前だが、ぼくが書かせていただく医師は医療界では著名でも資料は多くない。数本のインタビューがあればありがたく、時にTV出演の録画もあるが、それ以外は当人の論文ばかりである。必ずしも悪いことではなく、資料があるとその内容に引っ張られてしまうし、インタビューも資料の確認になることもある。ところが今回は、本も番組も論文もゴマンとある。この上何を書けるのか?資料的価値のある本は2つに絞れたが、勝負はここからだ。

まず相手に負けてはならない。

かつてビジネス連載をしていた時、俳優の近藤正臣氏にインタビューする機会があった。正直緊張した。高名な俳優でありインタビュー慣れしていた。ぼくの質問はほぼ全てハナで笑われた。彼はびくともしなかった。

よく雑誌やネットのインタビュー記事で「ツッコミ不足」「聞けてない」「憶測だらけ」というのがある。それはその人のことを知らない、テーマも勉強不足という知識不足もさることながら、びびったんじゃないだろうか

1991年、ローリング•ストーンズが初来日した時、五木寛之氏がミック•ジャガーにインタビューをした。ジャガーは大御所であり、一度も受け答えで詰まったことがない〝ナイフのような男〟である(後日、五木氏がそう評した)。あの渋谷陽一氏だってびびったくらいだ。だが五木氏は意外な突っ込みをした。ロックスターに世界の政治情勢を訊いた。ポーランドや中国やソ連などのコンサート地での体験、政治体制への印象など。ジャガーは身を乗り出すように答えていた。

なぜ五木氏は彼がポリティカルな関心があると見抜いたのだろうか?

それは〝常識〟である。ローリング•ストーンズはもちろんボブ•ディランやビートルズがカウンターカルチャー、つまり体制批判や常識への反抗からスタートしたという、誰もが知っているはずの事実から質問したのだ。ちなみにジャガーはごく最近も『England Lost(英国は負けた)』というEUからの離脱を批判する曲を発表している。

ではその医療者を動かすエンジンはなんだろうか?同じく常識にあるはずだ。時代背景や時代シーンにあるはずだ。家庭環境にあるはずなのだ。耳をダンボに、目をモンスターズインクのマイクにして突っ込め。そこから書けば、一味も二味も違うものになるはずだ。

味が深みを増した二日目のカレー。

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