今日は病院をハシゴした。といってもぼく自身の病ではない。
T大学病院に知人を見舞いに行った。腎臓病で入院というので、よもや腎癌と思ったら透析治療に入るという。すこしホッとしたが、あの週3日も通院しなければならない病か。仕事にも暮らしにも大きな影響があるだろう。
まず生体の腹膜透析を試みて、だめなら機械的に血液を浄化するそうだ。手術をして管を入れて腹膜透析の成績を見て…という段取りだ。だから入院は一ヶ月にも及ぶ。それもつらそうだが腎臓病の持病もちだけあっていろいろよくご存知である。ご飯はだめとよくいうがそれは半ば間違いで、問題はたんぱく質。ご飯でそれを摂取すると糖質やカロリーがオーバーしてしまう。要するにバランスよくたんぱく質、カルシウム、マグネシウム等を摂取するのが透析患者の食事である。なんやかんや腎機能が落ちたら、最後の手段はあれしかない…
「幸い、うちのかみさんがひとつくれてもいいって言ってまして」
彼には生体腎移植をしてくれる奥さんがいる。移植しても腎臓は保って10年が平均らしいが、10年寄り添うためにくださるのか。これまでの感謝でくださるのか。
T大学からその足で向かったのは『ドクターズマガジン』取材先のT病院である。インタビューした医師が、医者になろうと思ったのは、幼い頃父が胆膵の病気で入退院を繰り返していたからだった。医師になるきっかけに両親の病気がある例は、何人もの医師から聴いてきた。
病気がつくるものは痛みや絶望だけではない。まず病気への知識が増えるので病に対処ができる。これからの人生どう生きようか考えて決心ができる。奥さんの思いやりや自己犠牲もある。職業の夢を抱かせ、そのための努力をさせる力にもなる。病気は悪いことばかりつくるわけじゃない。
取材で久しぶりに杉浦編集長に会うと「ごーさん顔色が悪い」と言われた。稲垣カメラマンからは「にんにく注射がいい」と言われた。確かに栄養は悪いし蕁麻疹も口内炎も頭痛もある。だがぼくの症状の原因は、体というより心にある。病は気からなのである。気を高める方法が知りたい。病気の持つ力の、尻尾を捕まえたいのだが。
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