昔から日本はタテ社会でしたが…
タテ書きが美しくできるテキストエディター『stone』を試させてもらっている。日本デザインセンターより発売予定のアプリである。
タテ書きで書いてみたが入力しやすい。設定はシンプルで、文字タイプ(明朝かゴシックか)、文字サイズ、行間、文字数、そして縦か横か、オンリーこれだけ。脇に行数を表す数字が現れ、下には検索フィールドと文字数表記(全体)がある。タブを増やすこともできる。
天地左右の余白は広め。どんなに狭くしても一定のスペースは残るようだ。入力時には、設定の表記やファイルタイトルなどが消えるようになっている。つまり書くことに専念させるスタイルだ。
以前少し使ってやめたomm writerがあるが、あれはommのテキスト以外は同時使用ができなかった。テキスト入力だけをやれという専制的なもので、様々なファイルを参照しながら書くぼくにはムリです。その点stoneはレイヤーが効くのもいい。
結構良いと思うのだが、さて使用中のJedit Xを止めるだろうか?
stoneのミニマルな設定はイイのだが、削ってはならないものを削っている。それは書体である。おそらく発売時には種類があるのだろうが。もうひとつ文字はグレー調だけでは老眼の人にはつらスギる。白内障を手術したぼくには死活問題である。また辞書機能が使えない?OSXではマウスをオーバーさせるか、「command + ctl + d」で辞書を呼び出せるが、それができない?いちばん気になるのは「余白の大きさ」である。ノートPCの画面ではつらいだろう。またあえて入力時に余白の文字情報を消す必要はない。趣味の問題ですけれど。
ではタテなら使うか?
あえてタテで書く理由が見当たらない。入稿原稿は横だし、機能的にホイールで左右に文が動かないし、画面下部のスクロールバーをにぎって左右にスライドさせるのは読み書きのスピードを削ぐ。不思議なことに、テキストでは読みこむ速度はタテよりヨコの方が速い。印刷媒体の新聞や本だとヨコよりタテの方が速いのだけど。人によるのだろうか。
タテ書きというのは改まってラブレターや詩歌を書くとか、熟読する本がよさそうだ。民族的にはタテ書き社会、タテ文化をまだ標榜はしているが、コンピュータは結局ヨコメディアで、まだコンピュータとタテのランデブーが浅いのだろうな。もちろん書道家が紙を選ぶように、執筆家も画面を選びたい。そういう視点からこのアプリは選択肢にはなりますし、機能だけでなく入力にデザインを重視するのはいいことです。
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