たいへんな人

ふと、自分も〝たいへんな人〟なんだなーっと思った。

心療内科の本のことを考えていた。家族群像を書ききらねばならない。リアリズムで、一人一人、一家族一家族を見て、それぞれがさまざまな問題を抱えていることを描いてゆく。夫婦仲が悪い、夫が弱くて妻が強くなる、経済状況が厳しい、虐待や無視がある、父も母もその少年少女時代を過酷に過ごし、背負った過酷を下の世代で繰り返してしまう… ここがベースになるのでなるだけ具体的に描きたい。

その一つの要素、よく言われることだが、女性が「結婚相手に父のような人を選ぶ」がある。父の生き様が過酷で、不安定で、妻や家族に迷惑をかけどおしだったとしよう。だから娘はその人とは違う人を選んで結婚したいと考える。この思いはまっとうである。ところが結婚してみると、父と同じほど過酷で、不安定な人であった。結婚までといわなくても、交際ではよくあると言われる。<貧乏くじを引き続ける>心理メカニズムは興味深いけれど、うがった見方よりも、まず引いてしまう事実を書きたい。

と思っていたら、ふと自分こそたいへんな人だなーっと思い当たった。

とても今更なことなので笑うにも笑えないのだが、なにせ本人は自分のことをすこしはまっとうだと思っていたい。ところがよくよく第三者的に見ると、やっぱりたいへんな人である。自分勝手でひとりぼっちで経済力もなく生活力もない。笑ってしまった。それは(昨日書いたことだが)父性をもたないで母性にすがって生きてきたせいだろう。こんな自分が結婚したことがまちがっていたのだろう。

しかし本当の自分を知ることは決してマイナスではない。知ることがプラスになる。そこはまだうまく云えられないが、実感しつつある。

このように、心の病の患者にある人間像をつかんで、言葉を投げて、治してきたのが某医師なのである。人間模様、家族模様を通してみれば治療プロセスも見えてくるのだと思う。それが書けるかどうかも、自己再生の一部のような気がしている。

資料探索に訪れた図書館の隣に丸いガスのタマがあった。人はこれと同じである。殻の中にあってつかみどころがない。だがどこかに一本階段があって、その人のてっぺんに登ってゆける。コンコンコンとてっぺんに穴をあけて、プシューっとガス抜きをしてやれればいいのだ。

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