肉を剥ぎ、カドを落とす。

今月は月中にデータ入稿ができそうなドクターズマガジン。杉浦編集長より打電があった。

「ごーさん!最後のくだり、大編集長によって1行省かれました!」
天は人の上に人を作らず、しかし編集長の上に編集長を作りたもうた。ラストシーンの一行がクサイらしく省かれた…。
「このままだとなんとなくエッセンスがなくなって、サラリとした上善水の如しなのですが、なにか代替案は浮かびませぬか?m(_ _)m」

さっそく修正案を考えて、打電した。

「ひゃーっ瞬時にできちゃう。痩せ過ぎないでくださいね」
「ご心配、ありがとうございます。実はぼくの文は、体の肉を一枚一枚引き剥がしては書き、引き剥がしては書いているのです」
「ピノ子がその肉を食べないように祈っています(u_u)」

心配ご無用のようだ。寝ておる。そういえば今日、買い物に行ったのにベーコンが高くて買いそびれた。よって炒飯には野菜と干しえび滓しか入らなかった。ぼくには剥がすほどの肉もないのだ。だが痩せても枯れても構わぬ。ピノ子と愛する人に我が肉をパンとして与えん。我が血をワインとして与えん。

さて次の原稿はすんなりゆくはずだったが、書き出してみるとウワベをなぞっているようで止めた。人物像にシワというかエクボというか深みがない。あれこれ考えても突破口が浮かばないので、書くのを止めてカドを落とすことにした。

黄ボール厚紙のカドを紙カンナで削る。御朱印帳のキットで表紙となる素材、一辺また一辺と削る。

片面の四辺のカドを落とすと手触りが良くなり、紙擦れが減る。来週納品する80冊のキットに封入する黄ボール160枚は、こうして地道に削られている。それなのに安い。

こんなことをしているから肉も削げ、人としてのカドも落ちてくるのである。残るものは何だろう。数行でいいから、あらゆる人が口ずさむcotobaを残したいものだ。

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