春は本に乗ってやってくる、と古人は言った…言ってないか(笑)
国会図書館に出向いた。迎えてくれたのは梅の木である。無表情な警官と殺伐としたコンクリート建物の霞が関で、ほっとするスポット。目的は次の〝ドクターの肖像〟の医師の資料を閲覧するためである。
医師の本はとりわけ高価なものが多く、買うわけにはまいらん(^^)。そこで何でもそろうこの図書館で、医療誌のバックナンバーや図書をチェックする。
さて資料取材とは、単純に情報を集めて知る/集めるだけではない。
まず「知らないことが出回っていない」ことを確認する目的がある。読者が知っているのに書き手が知らないのはまずい。書き手は常に読者の優位でなくてはならない。
また「直接に使える情報ではなく、ストーリーの背景となる技術や歴史、関連人物の情報を補強する」狙いもある。たとえば医師とある特定の患者さんのエピソードがある。そのデータや記録がないとしても、同じ症例、同じ手術はある。それでそのシーンの補強をすることはできる。
情報を積み上げると、人物像が浮かび上がり、エピソードに深みが出るのである。
2017年2月号の赤星隆幸医師のラストシーンは鮮やかなのだが(自画自賛)、そこには〝飛躍〟がある。
まず事実として、彼はある患者の白内障治療をした。それはインタビューで言っていたし、書籍でも確認した。そこに、赤星氏の人間性なら「きっとあっただろう」という情景を付け足した。単なる想像ではない。人物像からの推論である。歴史小説的な書き方と言っていいかもしれない。案の定、褒めてくれる人がいた。
今月の赤星先生の記事、どなたが執筆していらっしゃるのかわかりませんが、大変感動しました。
最後の衣笠病院の看護婦さんの話との結びは秀逸だと思いました。
ある開業医さんからの編集部宛のメールである。ぼくですよ書いたの!(笑)ありがとうございました!次の3月号の離島医の物語も期待してください。
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