バカロレアという哲学

明日は雪になる地方が多いそうで、大学センター試験の受験者はご苦労様です。

日本では57万人がマークシートで一斉に回答する。知力も必要だけれど効率よく解ける力が必須で、記憶力勝負でもある。ぼくは共通一次と呼ばれた時代の一期生だったが、イヤだったなあ、足切りされたし(^^; 

対極的なのがフランスのバカロレア試験と言われる。〝共通国家試験〟であるため、大学入試だけでなく就職でも必要になので、毎年70万人が受験する。国語は必修で高校2年で受験。3年生で数学、哲学、地理、歴史、第1外国語の必修を受けて、あとは文系理系などで選択である。点が悪いと就職にも良くないし、ほぼみんな受けるからかっこわるい。

よく話題になるのが哲学試験。テーマから一つを選択して4時間かけて論文を書く。2016年もおもしろいテーマが並んだ。

「欲望は本来際限がないのか」
「労働の減少はよき生を意味するか」
「人は常に自分の欲望を知るか」
「マキャベリ『君主論』の抜粋を説明せよ」
「デカルト『哲学原理』の抜粋を説明せよ」

スゲー!(笑)論文では奇抜さを求めるわけでなく、論文らしい記述形式も問われる。70万人の論文を採点する人がいることも感心させられる。日本では採点者が少なくてムリだな。

ある人が「バカロア試験の根底には実存主義がある」と言った。存在論の哲学では人間の存在を次の3つに分ける。

対自存在:自己を外から見ることができる人間
対他存在:他者の評価によって支えられる人間
即時存在:自己中心、自分本位の人間

だから論文の答えとしては「際限のない欲望で生きる人を指摘し、その欲望のワケを推察し、そうならないような生き方を示す」となる。バカロレアの哲学試験は「人間としてどう生きるか?」を考えさせるテストである。この試験が社会人になる前に実施されるということは、フランス人の人生への態度がよく見えてくる。

日本のセンター試験、せめて「SMAPを対他存在から説明せよ」くらい考えさせてもいいだろう…無駄かな(笑)

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君の哲学はにぇることだね、ピノ。

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