「要するに医者は勉強不足なのである」この一行に本書は凝縮されている。
2001年発行の本書は“医者に頼るな本”のはしりとも言えるが、その圧倒的な知識と理論が類書とは全く異なる。
例えばコレステロールに善玉と悪玉があるのは誰もが知る。だが何をもって悪と善を分けるか?医師は「悪玉をコントロールしましょう」とコレステロール降下剤を出すが、それは胆石の副作用があり、肝臓の働きを弱める薬をさらに出す。すると癌になる危険性が高まる。これが善玉悪玉の対症療法だという。
善と悪とは「コレステロールのパッケージ」の善悪であり、コレステロールが悪いわけではない。活性酸素によってリポ蛋白が破壊され、コレステロールが本来の流通経路から外れてしまうのが問題だという。ならば活性酸素を退治する“スカベンジャー(掃除屋)”を摂ればいい。それは薬ではなく栄養である。コレステロールを下げるなんて無知迷妄と一刀両断である。
著者が主張する“三石理論”とは、分子生物学をベースにした“分子栄養学”である。きっかけは60才の頃の白内障で、医師から失明すると診断されたが、白内障の原因を突き止めてビタミンCを自己注射することで、治癒したという。
複数の大学で物理や理学の教授職をした著者は、還暦から医学を学んだ。医者の大半が分子生物学を学ばないことに気づいた。理由は難しいからである。また外科は外科、内科は内科の知識で治療し、全身を診れる者は少ないからでもある。要するに「目が開いていない」のである。
『医学で病気は予防できない』という章も刺激的である。人間ドックで「癌」がひっかかる時には、既に5年10年と癌細胞が10億まで増えて、上皮細胞で発見される段階である。とすれば「早期発見」でも何でも無い。真にやることは健康の自主管理の栄養学だという。
末期癌の消失事例も紹介されるが、キュレーション話題でもちきりのイマドキはまずい(^^)ただ生半可な健康常識への鉄槌は十二分下されている。95才の長寿をまっとうした「知識科学至上主義者」はどんな男か。“昭和の知の巨人”についてはもっと読み込んでから紹介したい。
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