『左からの車は遠く見える? 衝突、右の2倍超』という朝日新聞の記事が興味深い。横断中の歩行者の死亡事故分析から「右から来た車に衝突された事例」を1とすると、「左から来た車に衝突された事例」が2.27だという。高齢者や夜間になるとその傾向が強まる。
左から来る自動車に人は弱い?
医療ライターとして思い当たることがある。人には利き目がある。腕を伸ばして人差し指を前に立てて両目で見て、次に片目で見て、もう片方の目で見る。両目で見た位置と変わらない方が利き目である。野球の打者なら右打者は左目が利き目だとボールが捉えやすい。日本人の6-7割は右目が利き目であり、利き目でない方は動体視力も弱いのだ。
つまり左から来る車に弱いのは利き目のせいではないか?
それがわかっても歩行者側は打ち手がとりづらい。街頭の照度、歩道の形状の改善など交通システム側と、やはり運転側の注意喚起が必要である。記事中には「自動車がロービーム(ライトが下向き)の時、事故が多い」という指摘がある。暗い道路ではごもっともだが重要なことを指摘しておきたい。
高齢者はハイビームに弱い。
60代以上になれば大半の人が白内障になる。白内障では眩しさが正常の目の数倍になる。白内障だったぼくは夜道が怖くて歩けなかった。眩しくてすくんだ。その実情を知った上でハイビームを点灯してほしい。
また運転者にとっても利き目は大事で、左折時の巻き込み事故が多いのは、右側に運転席があるだけでなく、利き目が右だとすればどうだろう。左側は考える以上に死角になっている。
バックミラーの映像化技術も話題である。だが実像とギャップもあるし、右や左を「身体をつかってわざわざ見る」のは必要である。目の弱さを補う映像技術、たとえば「眩しくない」「視野欠損を補完してくれる」etc.であればウエルカムであるが。
プリウスのシフトレバーの位置=「身体記憶」が事故を引き起こすという話しといい、車のデザインはまだ発展途上。身体の衰えや経験知覚に合わせるのがほんとうのユニバーサルデザインではないだろうか。
こりゃ眩しい(笑)。
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