ただ今「急ピッチ」ならぬ「緩ピッチ」で和紙の蛇腹加工に入っている。
神社や寺を巡って頂く御朱印をもらう御朱印帳の本文紙、蛇腹加工である。奉書紙という和紙を糊付け加工する。オンラインショップ「かみのみか」では、自分で蛇腹から作るキットも販売するが圧倒的に蛇腹加工済みを求める人が多い。
なぜならかんたんではないからだ。
職人技といえども機械じゃないので、がんがんはできない。左手の押さえがしっかりとリズミカルにしないとだめだ。
正式な工程は皆さんの思うよりずっと長い。二つ折りをしてあるコツを入れる。ある箇所だけ断裁して、指定枚数ごとに逆さ向きに揃える。それから蛇腹貼りをして乾燥〜重し、あるコツを入れてある箇所を断裁。ようやく完成。まさに「昭和の内職」の風情だが、封筒の袋貼りとは違ってかんたんではない。
しかし内職なんてほんとうにあったのだろうか?大量生産•大量消費、100均デフレ時代さえも久しく、昭和はさらに遠い過去である。
昨日ショッピングセンターを歩いて商品の物量に圧倒された。単純な消費はもはやつまらない。ブランド漁りも終わった。非日常品にも鈍くなった。あらゆる消費がつまらなくなった今、職人の手作りの和紙の帳面が千円以上で売れるのは因縁めいている。それも蛇腹加工という日本古来のシンプルな加工法であるのは、皮肉でさえある。
さらにそれを持って日本の古都や神社仏閣へそぞろ歩きするのは、金銭消費でもなく時間消費でもなく、心の豊かさや穏やかさを増やす活動である。その意味で御朱印帳は最先端の消費行動なのではないだろうか。
折しも本日(11/14)かみのみかshopの「お寺サイズ蛇腹加工御朱印帳キット」は完売。蛇腹ができるまで在庫切れである。職人はただ今某和紙会社の御朱印帳完成品の注文(X百冊)や、蛇腹加工本文のX百冊の注文も入っているので、しばし待たれよ。
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