良い天気だった。だが布団を干したあと洗濯をするのを忘れ、動物も忘れた。忙しかったからだ。
お昼過ぎ、布団をベランダから取り込んだ。敷き布団に掛け布団、よいしょっと部屋に入れた。サッシを後ろ手で閉めた。布団を抱えてベッドのある部屋まで運んだ。そのあとお味噌汁をインスタントリーに作り、保温したままのご飯と、生卵で済まそうとした。何しろ忙しかったからだ。ここまで5分か6分たった。
やれやれと机に座ってご飯である。お味噌汁を吸っていると、どこかで「ニャア」と聞こえた。「?」とベランダのサッシの方角を見ると、向こう側に黒いものが見えた。我が猫だ。サッシを開けると、ぴょーーっと猫のピノ子が入ってきた。「ふゃぁ、ふゃぁ」と鳴いて奥の部屋に駆け込んだ。布団を取り込んでから今まで、外にずっと締め出していたのだ。
先日今野さんから聞いた話を咄嗟に思い出した。5階のベランダから2階の屋根まで落ちた猫の話しだ。骨折はなかったそうだが、飼い主の命が数年縮んだ。ぼくのもきっと縮んだ。ピノ子を追いかけて抱きかかえて「ごめん、ごめん」と言うとしょげた顔をしていた。罪滅ぼしにお昼から大好きな「チュール」をあげると、ちゅるちゅる美味しそうに食べていた。
午後、「そろそろ締め切りですよ」というメール連絡がきた。ぼくはメールで謝った。夕方、またぼくはピノ子を膝にのせて謝った。何しろ忙しくて遊べないからだ。
罪滅ぼしに大好物の「金のだしカップ」をあげると、美味しそうにぺろりと平らげた。一方ぼくの夜ご飯は、長ネギ、ワカメ、とろろ昆布、揚げ玉といった具の乏しいうどんである。猫の方が絶対に良いご飯である。
謝ってばかりの日だが、まだ終わりそうにない。遅筆がいかんのだが、今回のも手強い。がんばりますデス…ピノ子様のためにも。
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