まあ見ていろよ。

「レッドツェッペリン…プレゼンス、ですか?」ぼくは言った。

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レコードプレイヤーの脇に飾られたLPレコードのジャケットを見て、ぼくは記憶をスクィーズした。ひと抱え以上の量のレコードがあった。そのうちの一枚。

「そうです、レッドツェッペリン。中高のとき、はちゃめちゃ聴いたから」

長崎のカメラマンは言った。江戸中期から続く日本の最古の商店街「長崎市 中通り商店街」にある彼のスタジオは、骨董とファッションで埋め尽くされていた。

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古いピアノ、丸いキーのタイプライター、器や食器、トルソーや洋服掛け、そして倫敦製のテーブル…。カメラマン氏が二十代から買い集めて、実家の倉庫に眠らせておいた。十数年前、商店街に面したビルの2フロアを、フォトスタジオ専用室とフォトスタジオ兼打ち合わせ室としてオープンした時、展示した。

「あの軍手、お店で120円だと思ったのよ。最近、目が弱いから」

フランス製1,200円だった。彼が関わった写真雑誌を見せてもらうと、撮影の器や什器が写っていた。彼の骨董コレクションを使って撮影している。なあるほど…この部屋は彼の「仕事場兼営業室」なのである。なるほど撮影業はこういう営業ができる。

ふと思った。文を書く人は「どんなモノ」を武器にできるのだろうか?

家電評論家で文を書く人がいるがコレクターではない。自動車評論家にはコレクターがいる。玩具にも器にも蒐集家いる。だがそれは「コレクターが文を書く」という感じで、イマイチ違う。

文を書く人はやっぱり「本」である。大量の本棚である。だがそれは武器であっても「営業」ではないよな…と思ったところで、赤面した。自分の本がずらりと並んでいれば、それは立派な営業じゃないか。大した本をまだ書けず、背表紙のない雑誌やウエブの雑文くらいの我が身は、まだお客様をもてなす「本という営業室」がないのだ。

まあ見ていろよ。ぼくのプレゼンス(存在)を出すぞと誕生日に誓った。

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家に帰って写した、我が所有の一枚である。

まあ見ていろよ。” への2件のフィードバック

追加

  1. 郷さま

    昨日は大変お世話になりました。
    また、異常な暑さの中スタジオまでお越しいただきありがとうございました。
    サイトで早速スタジオをご紹介いただきありがとうございました。
    郷マジックでストーリーを持ったこだわりあるスタジオオーナーに知らないうちになってました。
    cotobaはある意味芸術ですね。

    ありがとうございました。

    松村

  2. 松村さま
    どうもありがとうございました!
    そして無断撮影&掲載、すみませんでした!m(_ _)m
    松村さんのLPレコードを手回しするような優しい御心にすがって、
    ご勘弁ください(^^*)
    なぜぼくはプレゼンスを知っていたのか?よくよく考えると「持っていた」(笑)
    ということで非常にしゃっこいプレーヤーで写してしまいました。
    松村さんのところの存在感ある品々と比べようもありません。
    しかし長崎よかところじゃね〜と思いつつ、がんばろーっと思いつつ、
    帰途につきまして、今日からテープ起こし文の肥づくりです。
    松村さんの写真に埋没しないよう、ぐぁんばります!
    ごう

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