媚を売らない男

さすがは天下の知性。三島由紀夫賞を受賞した蓮實重彦氏のインタビューは痛快だった。

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「80歳の私に…はた迷惑」三島由紀夫賞の蓮實重彦さん』の記事を読んだ。残念ながら受賞作は読んでいないので、それについて触れることはできない。インタビューは記事を読んでもらうとして、トリツクシマもなくツッケンドンだった記者会見が、授賞式にふさわしくない暗い雰囲気に終始したと伝えられる。そんな一般論のニュースがまたおもしろい。

どうしてこうなったか。想像するに蓮實氏のマスメディアへの基本的なスタンスがある。彼はマスメディアとは「大衆に安心感をつくる機関」だと喝破している

たとえば「東大生は偏差値が高い」「東大はエリート養成校」というごく短い文章をマスコミは伝える。それが大衆の間で無自覚に増幅される。東大ってこうだよねというイメージを構築することが、あたかもメディアの使命であるかのようにふるまう人びとに、蓮實氏はほとほと呆れているのだ。

彼がやろうとしてきたこと、いやあらゆる創造者がやるべきことは、安心感とは真逆である。むしろその破壊である。

一般的なありふれたものは創造にも受賞にも値しない。斬新があり驚きがあり「ほほう…」がなければならない。今回の作品『伯爵夫人』も読まずにあるいは読んでも何もわからずに、マスメディアは「蓮實はこういう人間だ」「彼の受賞作はこういうものだ」と枠にはめて、安心を伝えようとする。そこに強く反発したのだろう。

『伯爵夫人』というタイトルからして映画作品との絡みが想起される。なにしろ蓮實氏といえば映画論である。彼の創造者としての土台をなんら理解もせずに、老獪で際立つ知性の持ち主に対して、「どんなお気持ちですか?」という一般論の質問でインタビューなぞできるわけがないのだ。反省しなさい。

蜷川といい蓮實といい、日本には芸術にもマスコミにも媚を売らない男がいた。そのエーテルを絶やしてはいかん。

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