この風景ともあと1ヶ月半…見納めっと思ってパチリ。思えばカメラからシャッター音が聞こえた時代はよかった。今は味気のないスマートフォンである。
ふれあい橋の下を神田川が流れ、ぼくらの人生も流れてゆく。行く先は時代の曲がり角という滝壺なのである。
橋を渡りきって左に折れると、潰れたトロフィー屋の空き家の隣が柳森神社である。今日は神社猫はいないかねと思っていたら、いた。門前でニャーと言っていた。婆様はいなかった。不思議と猫がいると婆様がいない。婆様がいると猫がいない。ぼくはあることを疑っている。
しゃがんで神社猫にお願いしてみた。
「なでてやるからさ、ぼくに幸運をおくれ」
するとそっぽを向いた。
「お前のこともこの神社のこともがんばって書いたんだよ」
するとこっちをみた。何か言った。
「なんて言ったの?」
「いいからなでろ」
「わかったよ」
たっぷりなでたんできっと大丈夫。
ギャラリーを掃除して掃除機のパックも交換した。cherryさんが作ったタイカレーを食べてから、「かみのみか」で販売する商品や素材在庫を整理した。別室にあるパーツ類もチェックした。中村さんから商品製作の情報一切合切を引き継いだ。
なぜか助けを頼まれる日でもあった。
御朱印帳のワークショップをやる場所(内神田の元製本所)のために、ネット設定やら掃除やら手伝うことになった。それにからんで山田隊長から引き継ぐJimdo(ホームページ)はマスターした。あとは初級Photoshop。
夕方遅く、原稿の谷間に落ちた人びとにつかまった。引き上げるほど文力はないけれど、相次ぐ落石で流血しているのを見過ごすことはできない。
長い一日が終わり、神社の前を通りかかると…
蛙だ。コイツも長生きしているな。神田柳原通り、寄り合い所帯。持ちつ持たれつの下町は、仕事も人も猫も蛙も生きている。
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