やなぎわら通りのことを考えながら、ふれあい橋を渡ると…
柳森神社守の猫がいた。
「にゃんにゃん〜♪」と言いながら近づくと、コヤツは人懐こいので止まった。ぼくはしゃがんでなでだした。ん…さかってる?(^^;)
なんだか背中を低くしてゴロゴロいう。お尻見るとタマはなかった。何を隠そう、ぼくはサカリ猫を喜ばすのはうまい。こいつ、ぼくの膝や太ももに擦り寄ってきよった。
「なでなでしてもらえてよかったねえ」
神社守の婆様はいつになくニコニコして言った。ぼくはなでなでしながら聞いてみた。
「あのさあ、ぼく今ちょっと迷っているんだ」
猫は聞いているのか聞いていないのか、かすかに背中をへこませた。
「わかったわかった、もっとなでりゃいいだろ」
もっとなでるとキモチよさげにごろごろした。そして言った。
「お礼にひとつだけきいてやろう」
「ありがと」
「にゃんだ?」
「ぼくは文の創作修行しているだ」
「知ってるよ」
なんで知っているんだろう…?怯まずにぼくは語りかけ続けた。
「現代の人が過去に行ってひと暴れするんだけど、どう過去のことを書くか、過去にどんな意味をもたせるか迷っているんだ」
「ただ思いっきり書けばいい」
「それでいいのかな」
「にゃあ!」
「びっくりさせるなよ」
「あのにゃ」猫はぼくに一瞥をくれた。「過去がつまらないなら今も未来もつまらない。過去がおもしろいなら今も未来もおもしろい」
「そっか」
「物語も人生もそんなもんだ。過去がどーしたとか、未来があるのかないのとか、うにゃうにゃ言うヤツに限って今がおろそかになっている。とにかく書きなされ」
「そうだな」
猫はすたすたと神社への石段を下りていった。この対話は日本人にしかできない自問自答ってやつかもしれない。だがとにかく書き切ろう。ぼくにしか書けない物語がある限り。
さかりのお尻でした…(^^)
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