ホームレスの自立を助ける雑誌『Big issue』にまつわる話しが泣けてくる。
2013年のクリスマスの少し前だ。英国Bristleの路上に住むJack Richardsonは通行人のToni Osborneに声をかけた。「お金をくれませんか」すると、なぜかToniは泣き出した。「なんで泣くの?」とJackがきくとToniは言った。「クリスマスなのにお金が無くて電気を止められちゃうの」Jackは50ポンドをToniにあげた。Toniはおかげで電気のあるクリスマスをすごせた。
しばらくしてJackはバッジをつけてBig issueの販売をしだした。日本でも町の中で、ホームレスが上に掲げて売るあの雑誌だ。そしてToniと丘の上で会いだした。Jackが住んでいた地下駐車場が使えない時、Toniは自宅ガレージに彼を泊まらせた。友情はやがて恋になりJackはToniにプロポーズした。場所はあの50ポンドを渡した場所だった。
結婚式をあげたときのJackの言葉がいい。
毎日が絶望だった。どう死のうかばかり思っていた。どうすればやり直せるかわからないし悪くなる一方で、未来なんかなかった。でも今はちがう。永遠に愛する人ができて、ぼくを愛してくれる。今は未来があるんだ。
二つ思ったことがある。
まずissueとは“発行”だが、問題という意味もある。問題とは何なのだろう。
それは「誰かの問題を自分のことのように考えられる」ことだ。本当の問題とは、自分のことはさておいて誰かの問題を優先できるかどうかだ。
もうひとつ、人は人を愛することで生き直せる。
ホームレスとは、物理的に「住む所がない」貧困問題だけではなく、心理的に「愛する人がいない」というホームレス(生きていく軸がない)という意味も含んでいる。Jackは恋をして心も家もホームレスじゃなくなった。
しかし、同じひとつの屋根の下とはよく言ったものだ。
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