年一度の中小企業診断士の更新研修で虎ノ門に出かけた。研修会場でチーム分けの席に座る。5人一組のチームになって討議をする。ぼくの診断士登録は2002年で、5人中最古参。もう長老…(^^;;
事例テーマは広告Kという小企業への経営改善提案である。
社長は広告会社でコピーライターとして経験を積んで独立。最盛期には売上高1億円、10数名を雇う羽振りだった。
だが近年の紙媒体の減少=広告出稿の減少、ウエブ時代という構造変化で、売上高は3期前16百万、2期前13百万、前期9百万とマコトに厳しい。従業員も僅か2名。動画のインタビューで話す社長は「オレは今の時代の変化についていけるのかなあ」と淡々としている。独立して30年、60才だから辞めてもいいけれど…
ぼくの提案はどうせ年寄りなら「ノスタルジー媒体で再勝負せよ」。チラシやDM、地域新聞、ラジオというオールド媒体に特化せよ。昭和の広告屋でございと“ホーロー板広告”をしてもいい。すると他のチームにも似た提案があり、「葬式」や「終活」分野で広告をせよという。つい笑っちまった。そこで講師がきいた。
「では社長が一番大切にしている経営資源はなんでしょう?」
経験、人脈と、参加者達はもっともらしく言う中で、ぼくはピンときた。挙手して答えた。
「コピーライティングというクリエイティブです」
講師の左近先生、うなずいてくれた。一匹狼の社長、コピーというクリエイティブには自信がある。だが頑固で外部コンサルなぞの意見は受け入れない。そこでもう一つ質問された。
「そんな社長を動かすためにどう提案をしますか?」
これは他の人が良い答えを言った。彼のこれまでの成功体験を聞きだす。心を焚き付ける。そして「いつまでに何をするか」「世に何を残したいのか?」と人生総仕上げの目標を一緒に作ろうという。なるほどなと思った。
最後に左近先生が、この会社の損益計算書の赤字(前期30万円)を指摘して、どうしたら無くせるか?と言った。「私なら販管費のうち賃借料を削ります(同37万円)」という。事務所の賃貸料だ。打ち合わせなんてマクドナルドでやればいいと。
手厳しい。だがぼくならもっと厳しくこう言うだろう。
「会社をたたんで個人事業主として最後のクリエイティブを出せ」
人を雇わないなら会社組織は不要。裸一貫で最後の勝負をせよ。ぼくもなけなしのクリエイティブで再勝負しようと思う。
コメントを残す