外から来た経営者が勝つ方法

ドクターズマガジン最新刊は、風光明媚な石川県七尾市の七尾湾にそびえる恵寿総合病院。426床の当院を中核にする医療グループの理事長、神野正博氏。優しい目で話しながら時に人を射抜く鋭い眼光を放つ男である。

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恵寿といえばSPD、オーダリング、電子カルテなど病院情報化のトップを切る病院である。問題は「なぜ能登半島の地域病院が全国区なのか?」その理由はよく知らなかったが、神野氏へのインタビューでわかった。

あんまりそこばかり書いたので「ごーさん!もっと医療のことを書いてください!」と編集長に言われてシュンとした。しかし「なぜ情報化?」という理由が興味深い。

それは彼が三代目だから。

神野氏は金沢大学医学部と能登の僻地診療で修行してから、30代半ばで祖父が開業した病院に外科部長として着任した。七尾で神野といえば名士中の名士だが、院内では「三代目のお坊ちゃん、お手並み拝見」であった。神野氏は苦しんだ。経験がモノを言う医療技術では勝てない。

「ちくしょーっ!どうしたら勝てるんだろう?」

悩んで閃いたのが情報化だった。ウィンドウズ95の頃、日本で初めてSPD(病院の薬や診療材料の管理)を三菱商事と一緒に取り組んだ。そして数億の効果を出した。ひとつ勝てばふたつ勝てる。やがて親を凌ぎ、祖父を越えて、全国区の名病院長になった。

情報化という目の付けどころは素晴らしいが、それだけだろうか?と考えていたら、先日ある人から興味深いことをきいた。

外から来た“素人経営者”に、古参の従業員は「隠す」というのだ。

本業のノウハウやコツを隠して教えない。教えなければわからない。素人経営者だって「教えてください」とは言いにくい。だからずっと平行線をたどる。

だが「隠す」とは進化を止めることだ。止まった人には簡単に勝てる。少し押せば後ろに倒れるからだ。

一方挑戦する人はこっちに向かってくる。勢いがあるので止めにくい。そういう社員こそ「一緒に走ろう」と言って味方にするべし。力を利用すべし。

それこそ二代目や三代目、婿養子や外様の経営者が持つべき真の力である。

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敵に塩を送る…ではなく、アンケートで当選して送られてきた塩(^^)。

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