複数の自分を空につくる仕事

「手術でひとりぼっちが淋しい」とある医師が述懐してた。彼の作成したパワーポイントにこうあった。

脊椎内視鏡治療は孤独…
MED、MEL 術者一人と看護師一人

いずれも背骨の病気である。MEDとは内視鏡下腰椎椎間板摘出術、つまり椎間板ヘルニアを内視鏡で取る手術であり、MELは腰部脊柱管狭窄症内視鏡下手術、狭くなった脊柱管を内視鏡で広げる手術ある。どちらも内視鏡という10数ミリの小さな穴を開けるだけでできる。

従来の手術はメスで大きく切開するので数名のチームでやる。前立ちも看護師もモニターをにらめっこするチェッカーもいる場合もある。一方内視鏡手術は「究極のワンマン手術」である。術者ひとり、ブラックジャックみたい。コストも時間も短縮だから手術料金も安く…いや腕が良いぶん高くせよと言う医療関係者も多い。

なんにせよ「淋しい」って言われて、患者を起こされても困る(笑)

思えば「原稿もひとり作業」である。

終わったと思った入稿原稿にダメ出しされて、しょぼんと書き直す。そんなぼくはひとりぼっち。いや原稿には伴走者がちゃんといる。「もっと走れ(書けぇ!)」と檄を飛ばす編集スタッフ…(^^;;)だから余計に孤独がつのる…ってブツクサ言うもんか。

だが「書く」仕事はひとりぼっちではない。それは自分を越える自分をつくる作業でもある。

ヘタな自分の仕事ぶりをヘタと正直に認める。上手にできる自分を脳内に描く。それに近づきたい。追い越したい。そう願って背伸びする。ジャンプする。宙に浮かぶ。するとある日、自分が一段高くなっている。前の自分が下に見える。やあ!君を追い越したぞ、君を抜いたぞ。すると前の自分は今の自分を見上げて、ニヤリとして言う。

「精進してないとすぐにオレにもどるぜ」

書くことに限らない。あらゆる仕事は複数の自分をにつくってゆくことなのだ。さてがんばりますか。

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裏のアパートで今朝は別の猫がぼくを見ていた。

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