話しがうまいとは口だけではない。存在そのものである。
今夜のASEAN留学生就活支援講座、日本語検定や学校の試験期間に入ったせいか、出席者は少なかった。テーマは日本でビジネスをする上で必要な日本語について。日本語を伝える話しの構造を説明したあと、雑談風の演習にした。
演習のテーマは『話しがうまい人をあげて、何がうまいのか語ってください』。まずFrancis Hungさん。マリオットホテルで働いた後、サービスの分野でコンサルタントをしている。いかに利益を出せるかわかりやすく語る。まあコンサルなんて話しが上手な人の話しは気をつけてください(笑)
次にあげてくれたのは「ホーおじさん」(Bác Hồ)である。
私は直接ホーチミンを知りませんが、ホーチミンのことをベトナムでは誰もがホーおじさんといいます。私のおじいさんはホーおじさんのことを涙を流して語りました。
1945年の独立の日、ホーおじさんは何百万人の前で演説をしました。誰もが静まり返った。ホーおじさんは「わたしの言葉が聞こえますか?」と言いました。彼は5カ国語を話すことができましたが(英語、フランス語、ロシア語、中国語、ベトナム語)、なまりがあったのです。「わたしの言うことがわかりますか?」誰にも気をつかう人でした。
子供がいつも寄ってきました。子供を膝の上にのせてニコニコしていました。どんな人も差別せずに見下さなかった。遺体は山の上に埋葬してほしいと遺言しましたが、民衆は許さずホーチミン市の大通りに埋葬しました。
ホーおじさんは「1年先のことを考えるなら種を播け。10年先のことを考えるなら木を植えよ。100年先のことを考えるなら人を育てよ」と言いました。だから毎年9月5日には植樹をするのです。
以上、ひとりの発表ではなく、みんなが口々に発表してくれたのをまとめた。
少し調べるだけでホーおじさんの歌や言葉、人懐こく子供に囲まれた笑顔の写真があった。話しとは口が語るのではなく、人格が語る。
上っ面の知識やノウハウを教えても仕方ないと痛感した夜でした。