詰まるとなかなか出せなくなる。でも手をかければ、なんとか出せる。
封筒を綴じようとして糊を手にした。固まっていた。先端を開けると詰まっていた。固まった糊をなんとかほじくろうとしたが、なかなか…
かなりがっしりついている。仕方ないのでお湯に漬けた。しばらく置いておくとようやく取れた。ふぅ…
だが綴じようとすると中身が出ない。長年の放置でドロドロしていた。これじゃでねえ。諦めようとしたが、それではここまでがんばった甲斐がない。もったいないことだし。
温めてみたり、水で薄めてみたり、なだめたり。ようやく吐露、いやとろっとしてきた。満足できる使い勝手ではなくても、用は足せそうだ。
人でいえば心の硬直した人だ。心を閉ざす「フタ」を、力技ではなく、なるべく穏便に取る。取って「自分を出せる」かといえば、中まで固まっている。心の内側まで降りていって、少しずつほぐして、少しずつ押し出す。こんなことまでして綴じようとする封筒は、別居中の人への手紙である。
ある精神分析者の本を読んでいたら、人を「0歳人•1歳人•2歳人」に三類型している。0歳人は「わたしってだめだ」とコンプレックスに取り憑かれている。1歳人は「わたしが出世できないのはアイツのせいだ」とパラノイアである。2歳人は彼らに比べてオトナだが、自己顕示欲が強くて強引である。
ぼくはまさに0歳人だ。ぼくってダメ、ぼくが悪いんだ…ウチにこもるタイプだが、要するに発達がよろしくない。でも良いところもあって、自分は前に出ないが人のためならやろうかと思う。その心理をうまく発達させれば自分を変えられるはずだ。
そのためにも、1通、2通と手紙を書く。相手は1歳人なのでぼくは責められている(笑)何にせよ、これまでから脱却する自分への手紙なのである。手紙を書く自分こそ、この固まった糊なのである。