メジロのチュン(上)

それは鶏と鳥の羽根から始まった。

ほんのりと秋めいた夕方の道を相方と歩きだした。生クリームをもらったので「鶏肉ときのこの生クリーム仕立て」を作りたい。それで鶏肉やきのこや玉ねぎを買い出しに出た。歩き出すと、相方が舗装路に屈んだ。

「鳥の羽根。それも珍しい柄」
「ほんと。ペンにできそうだ」

骨の片側が茶と黒の縞模様で、片側が茶色。珍しい柄だ。ぼくは胸ポケットに羽根を入れてまた歩き出した。小さな公園に差し掛かった。そのときだ。

「あ!かわいそう。ふんづけないでー。クルマこないで!」

相方は道に屈んで、よちよち歩く小さな生き物を追った。目が弱いぼくは何だか見えなかった。相方が手の中に収めたのはヒナ鳥だった。体長6−7cmほどの綺麗な緑色した小鳥だ。

メジロだと思う。どうしよう、巣から落ちたのね

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公園の道路際には大きな木が2本あった。見上げていると鳥の鳴き声が聞こえる。

「どうしよう。お母さん探しているのね。どうしよう」

手の中の小鳥をなだめながら、ぼくらは木を見上げた。巣があるんだろうが見えない。登ることもできない枝振り。しかもその時、大きな羽根音がした。カラスだ。あやつに巣を蹴散らされたのかもしれない。クルマに轢かれずとも食べられちまう。

離すこともできず、巣に戻すこともできない。仕方なく手の中に小鳥を納めて我が家にもどった。

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部屋をあちこち飛ぼうする。これがかわいい。50cm窓に向かってはチュン。机の上に来てはチュン。数日保護して飛べるようになったら離そう、と決めた。

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適当な箱を巣にしてみたがうまくゆかない。相方が餌とカゴの代用になる品を買い出た間に、チュンは机の上にやってきて、Macbook Proの周りを散歩した。デリートキーの上にいたと思ったらフンしてた。幸いにもフンはデリートできた。

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ブックエンドの上に留まったチュンを動画撮影した。チュンチュン鳴く音声入り。この動画が後にカギになった。

買ってきた鳥餌を擂粉木で潰した。相方の手の中では落ちつくみたい。あったかいんだろうな。お母さんを感じるんだろうな。餌をほんの数口食べた。青虫が食べたいのかな。そのうちウトウトして寝出した。

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間に合わせの鳥カゴの中で寝させた。実にうまい寝床である。お陰でぼくは原稿書きに精を出せた。だがやっぱり気になる。時々カゴの中を見て、死んでないだろうな、息しているだろうなと確認をした。

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そのうち相方からメッセージが入った。

「メジロは野鳥で飼育禁止みたい」
「でもあのままじゃ死んじゃったよ」
「そうね。数日したら離せばいいわね。そういえばー」
「なに?」
「鳥の羽根、メジロをかくまったとき、胸のポケットから落ちた」

確かになかった。羽根は前触れだったのか。

夜、チュンのカゴのそばの板の間で寝た。寝息を立てて身体を膨らませているのを見ては、朝までぼくもウトウトした。

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