蝉のオーケストラ

8月15日、それは生きるものが逝くものに祈りを捧げ、逝ったものが生きるものを叱咤する日である。

買い物ついでに弔いに出掛けた。昨日、我がアパートにたどり着いて息絶えた蝉である。

どこにゆこうか。前にアパートの階段で息絶えた蝶を弔った公園にゆこう。同じ場所がいいだろう。暑いお昼過ぎ、てくてくと1km半近く歩いて公園に着いた。その公園の中でも、とりわけ木々の密集したところである。その根元に葬ってやろう。木々の上では蝉がみんみんみんと鳴いていた。

穴を掘ると根があった。根の隙間を掘って小さな穴になった。そっと亡きがらを置いた。

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その時だ。蝉の合唱がひときわ大きくなった。絶対に空耳ではない。まるで頭上の蝉のオーケストラが葬送曲を奏でるようであった。

ぼくはそっと土を掛けた。もう一度、成仏しろよとお祈りしてから公園を後にした。

帰ってから、創作原稿を見直した。午前中から取りかかっていたのだが、どうもエンジンが掛からない。書き直すべき文ばかり目についた。登場人物のひとりも書き換えが要りそうだ。やれやれ…と思ってなかなか進まなかった。眠くなりかけた、3時過ぎだろうか。眠気覚ましに奥の部屋に行った。すると網戸にへばりついているやつがいた。

蝉だ。

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まさか生き返ったのか?そんなことはないだろうが、逝ったやつの兄弟じゃないと誰が言える?ヤツはじっとそこにいた。わかった、わかった、がんばるよ。それから力が入った。

見てゆくと最初の40ページくらいまでブレているが、その後は我ながらおもしろい。何とかなりそうだ。蝉の叱咤のおかげだ。

死したものは生きるものを支え、生きるものは死したものを讃える。8月15日に合掌。

さてまた創作原稿にとりかかります。

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