洗濯物語

真実は小さなポケットに隠されている。そこからどんな音が聞こえてくるだろうか。

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何気なくジーンズのお尻のポケットをまさぐると、紙らしいものが指先に当たった。なんだろうと思って取り上げてみると、洗濯しちゃった宅急便伝票の受領証だった。ひどいもんだねえ…とcherryさんに言ったら、

「ほんとひどい」
「ついやっちまうんだよな」
「ティッシュとか最悪」

その通りだ。洗濯物に粉雪降って…ぼくもしでかした(^^;)。

「そうとう始末に悪いのがボールペン」
「ボールペン?」

インクが漏れてシャツが台無しになったそうだ。ペンもやっちまう。あんなもん洗ったら洗濯機の水槽から音がするだろう、と思って思い出した。

「干していたシャツを取り込んだら、胸ポケットからコロコロと転がって落ちたもんがあったんだ。なんだと思う?」

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答えは「」。製本をする人ならわかるが、折丁(二つ折りの紙)の背をぐいっと押して、折りをつける道具である。こんなもん入れて洗ってしまった…

カラカラと音するわよね
「するなあ。まあぼくは手洗いだけど」
ぼくは一人暮らしで、今は洗濯機がない。
「夫のリップクリームがカラカラと音をたててたこともあった」
それもやりそうだ。だがぼくは言った。
「リップスティックだったらどうなったかね」
「リップスティックは色々な意味でまずいわ」

紅は溶けるわ、カラカラ音はするわ…。さらに彼女は意味深な顔で笑った。確かにまずい。夫の服から口紅が出て来たとしよう。それは誰のものか?誰かにあげるのか?まさか自分で付けるとか(笑)いろんな意味でまずい。

過去に「まずい」ことがあった。

ワイシャツのポケットにメモを残していた。そこには意味深なことが書かれていた。メモを妻は突き出してきた。夫は口の中で言い訳にならない言い訳を言った。紙片だから洗濯してもカラカラという音はしないが、別の「ガラガラと崩れる音」が聞こえてきた。思い起こせばあの時から始まったのかもしれない。ずっと後になって合点がゆくことがある。あのワイシャツのポケットの紙片がきっとそれである。

洗濯物は実に運命的である。

赤いボールペンのインクが胸から血のように流れ、紙片が男女の仲を切り裂くように切れ切れになり、妻の冷たい詰問で夫はまるで折られる紙のようにピンとする。

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汝、洗濯を侮るなかれ。

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