李登輝の直球

91才の李ジイさん、ズバリと本質を射抜いて実に清々しい。こういうジジィ、少なくなったなあ。

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ウェッジから2014年6月に刊行された『李登輝より日本へ贈る言葉』、2,400円もするのに重版の隠れベストセラー。それもそのはず、おもしろいからだ。編集に携わったノアーズグラフィックのNorio Kobayashiさんから頂いた。どうもありがとうございます。

我々は台湾のことを“親日国家” “製造業が盛ん” “フルーツが美味しい”くらいしか知らない。日本占領下とその後の中国との関係の本質も知らない。歴史の生き証人でもある彼は、日本へ贈る言葉だけでなく、中国や自国に贈る言葉も書く。

まず中国の一刀両断ぶりがいい。

中国の歴史は中華思想という幻のなかをぐるぐる回っている芝居にすぎない。P.106

5000年の歴史は支配者が次々と変わるだけの進歩がないもので、人口が多いだけの大国と言いきる。米国が強く出るとへこむのでわかるだろうと。安倍首相礼賛はちょっとアハンだが、首相の中国に対してNOと言う姿勢は、事あるごとにフニョフニョしていた民主党の前政権、前々政権と比べても、毅然としている。

とりわけ第五章『指導者の条件』が白眉である。

現代人は、物質のみを重視し、表面的な事柄にとらわれる傾向がきわめて強いように思われます。抽象的概念に向き合って精神的思考を磨く努力をしようとせず、いつも携帯電話を手放さず、テレビやインターネットから情報を得るというような生活に満足しています。P.193

膝打ち&同感である。ネットを閉じて古典を読もう。そして彼は日本をおおいに憂える。マジメで勉強家であるが、勉強の方向がブレていると。

大切なのは現実的な社会を見据え、問題点をはっきり認識し、「日本をよくしたい」「国民のために尽くしたい」という信念をもって積極的に社会に働きかけることです。P.201

不況に飛ばされ、震災で絆を見つけ、再び物質主義…日本人から方向軸が失われて久しい。そこで“武士道”だと言う。

日本人はもっと自信をもち、かつて武士道という不文律を築きあげてきた民族の血を引いていることを誇るべきです。P.259

武士道とは「公の心、秩序、名誉、勇気、潔さ、惻隠の情、実践躬行」である。これを思い出せと言う。正月に新渡戸稲造の『武士道』を再読してもいいでしょう。

今の日本をどう見るか。年老いて、強くもなく、希望薄い国と見るか。年輪を重ねて、穏やかになり、弱きへの思いやり溢れる国と見るか。人それぞれだけど、91才になっても、台湾総統府前に50万人が集まった学生デモに参加しようという李氏の意思には敬意を払い、社会科の教科書のようだが(^^)主権在民という言葉をかみしめたい。

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