「伊勢型紙に挑戦!ワークショップ」と「突き彫りの実演」に、伝統工芸士の職人を筆頭に、デザイナー、染師、装幀家、着付け師、三重テラスの方、そして美人まで来てくれた。
アートマルシェ神田の手づくりイベント『手•紙④ te kami みやこどり』はいよいよ最終章へ。土日の主役は伊勢型紙の世界である。
和服の反物を染めるための伊勢型紙は、江戸小紋など型染め染色に欠かせない。美濃和紙を柿渋で張合わせた渋紙を6枚から7枚重ねて「彫って」創られる。国指定重要無形文化財「伊勢型紙保存会」の伝統工芸士内田勲氏を三重県から迎えて開催する。
4回開催するワークショップでは、グリーティングカードの型紙彫りに挑戦する。滅多にない機会ですから、合計60名の定員は満席御礼。多くの人にワークショップを楽しんで頂く。
昭和レトロな会場を(築45年の印刷会社ビルのまかない食堂…^^*)ぐるぐる回って指導して、さらに実演まで見せる内田さん。いわゆる伝統芸の世界にありがちな寡黙な職人…ではない。実に気さく、実におしゃべり(笑)。
渋柿紙をどう型紙にするのか。その手順の巧みさ、知恵の所在、そして精緻さに「おお!」という驚きと嘆声があがる。工程やパターンの組み合わせを拙い文で伝えられない。ぼくはあえて寡黙になる。どこかで実際に目にして耳にしてもらいたい。
代わりに、ぼくがハッとした内田さんの言葉を書いておきたい。
「伊勢型紙は冷たいもんじゃないです」
冷たい工業的に正確なパターンではない。あくまで人間がひと彫りひと彫り切る。家族と喧嘩したらモヤモヤする。仕事で問題があればメラメラする。そんな気持ちもおさえながら、彫る。加齢で目も弱れば集中力も落ちる。伝統工芸を背負う自負で気力を保つ。そこには工業製品から消えた個性があり、人間の跡がある。そのひと彫りは「人彫り」なのである。
「昔の修行は、8時間働いてそれ以上残業しました。休みは月2日、それを5年から6年続けて自分のものにする。今では通じませんわ」と笑う。
現代の着物の99%は機械染め。手彫りの型紙はわずか1%、それも細った着物需要の1%に過ぎないのだ。厳しく育てる若手が手に職を付けても、需要がなければ申し訳ない。だから師は全国、いや海外まで足を伸ばし、実演し講習を続ける。着物需要を喚起するため関東に5人ほどしかいない染め職人と連係する。
伊勢型紙に込める温かみとは、きっと「挑戦」なのだ。自分への挑戦、後継者への挑戦、社会への挑戦。型にはまってたまるかという挑戦なのだ。
美人参加者のサービスショット…(^^)山口美和さん(ニットユニットminamiwa)
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