ネットは馬鹿(失礼)と暇人(ハイぼく)のものと書いていた御仁がいるが、それで済めばいい。時にネットに揺さぶられてしまうこともある。
たとえば上野千鶴子氏の山梨市での講演中止。氏のツィッターやコラム「悩みのるつぼ」での発言から「公費で催す講演会の講師としてふさわしくない」というメール意見が10件あった。それをタテに160名以上の参加申し込みがある講演を、2月に就任した新市長が中止した。著書もいっぱいある作家で東大教授で、コラムは全国紙。しかも講演テーマは在宅医療ですよ。なにが問題?個人的な恨みでもあるの?
仮に問題をはらみつつ開催しても、たぶん何にも起こらない。なぜならぼくが市民でも講演にゆかない。それは上野千鶴子が好きじゃないから。好きならゆく、興味がないならゆかない。それだけのことでしょう。
同じような魔女狩りが『明日ママ』でした。この番組はフィクションですよ、フィクション。どうして「放送中止を求める」になるの?嫌なら観なければいい。子供に観せなければいい。それだけじゃなかったのかなあ。番組の脚本家の松田沙也さんは大人の態度でした。批判は一件一件受け止めています。この件があってツィッターのフォロワーが増えてありがとうございましたと(笑)。
だまって任せるのができないのかな。「これイヤ」思うと黙ってられないコドモみたいな大人が増えた。いや「これいいね」でも黙ってられない大人も増えた。ネットのそのときの流れに揺さぶられて、意見がとても偏ることが増えた。
SNSの「RT」や「いいね」でかんたんに「同意」や「お奨め」ができるから。ぼくはせめて、記事に書いてある以上の意見がないなら、ポチは慎む。広める(シェアする)ならひと言添える。無責任にポチだけして広めない。
インターネットが生まれて今年は25年。世界中の人と人がつながると予想されたのが今実現しつつある。ウエブの生みの親ティム・バーナーズ=リー氏は、知る権利や情報共有が侵害されていると警鐘を鳴らすが、つながったおかげでかえって「心がつながらない」問題も深刻である。ネット上で言い争い、ケンカや絶交やネットうつってなんだろう。
分かり合えないならリアルで会って…それも現実的じゃないから、まずは「だまっていること」。ほうっておける心をもつこと。25才なんだからそろそろ大人にならなきゃ。