本棚をつくる。

本棚の前に立って“ギャラリーの小さな図書館”のために寄進できる本を探した。選書して読みふけるなんて、ミイラ取りがミイラだが、やっちまった。

マーク•トウェインの『ハックルベリイ•フィンの冒険』(英語本もあるが誰も読まんので持ってゆかん)、恐れおおおくもサン=テグジュベリの『夜間飛行』。両方とも紛れもなく“旅”がある(小さな図書館の選書テーマは旅なので)。もう一冊手にしたのは、なぜか音楽。

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音楽』小澤征爾と武満徹の対談本である。昭和59年初版発行の奥付があるので、84年頃読んだはずだ。おふたりとも五十才になるかならないかの頃。音楽と文化に透徹した目ももち、意気盛んな語り合い。めくりだすと止まらなくなった。

「人間の匂いとか味とか音とかの記憶は心臓にあるんじゃないかと思うの」(小澤)

彼は中国瀋陽の生まれ、そこでの生活が身体のどこかにある。青年になり欧州へ音楽旅行に出た船旅で、シンガポールに寄港した。そこでジャスミン茶を飲んだ。その匂い、中国人の脂がハートに刺さった。記憶とは心臓というくだりがぼくのハートにもささった。

「受け身ではなく聴きにゆけ」

音楽が向こうからやってくる時代になった。84年より2013年の今はもっとそうだ。情報として音楽が氾濫し、いつでもどこでも聴ける環境、耳先で消費する音楽。

「音楽はまず声から出発するんだ」(小澤)

小澤の兄の子供がバイオリンを習いだした。先生について正しい弾き方を習いだす。それは違う。全部の楽器は人間の声の代理なんだ。あーっという叫びを弾けと言う。ほほう。

音楽への旅、日本への旅、日本人への旅。まさに旅の本だと(強引に)関連づける。もっていこう(^^)選書とはただ本を並べ返るとか、整理して捨てるというのとちがう。ある視点から本を見直す作業でもある。

あるテーマで自分の読書歴を洗う。これはなかなか得難い体験である。なぜならたいていの読書家は脈絡なく読んできたと思っているだろうけど、実はそうでもない。割と幾つかのテーマで読んできているものだ。読書歴を数個のキーワードで絞れるのだ。

ざっと見てぼくの本棚は旅、耽美、探求、人間、修行、言葉に集約されそうだ。自分のキーワードで本棚を作り直してもいい。ついでに再読すれば本がもっとよくわかる。自分というヤツももっとよくわかる。

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